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イタミ

春の日のひだまりに抱かれて、ふと見上げた空には雲一つ無かった。道端に咲いている黄色い小さな太陽は空の大きさをいつもより大きく感じさせた。


夏の蒸し暑い夜、二人で手を繋いで散歩をした事は、今でも鮮明に覚えている。天の川がキレイに光っていて。


夏の終わりの夕焼けを背中に背負っていた貴方の笑顔は俺の大切な宝物。






「いつまでも二人でいようね」
そんな約束をしていたけれど、それはも叶わないんだ。いつでも二人でいる夢を描くけど、俺は毎回それを破り捨てるんだ。


また、描いてしまうことを知っているのに。






今日の全てを貴方に話して、昨日の淋しさを貴方に渡したいのに。勇気とイタミを教えたいのに、それは出来ないこと。


出せない手紙を何時までも書き続けてるみたいに、それを全部抱きしめたら貴方の望む明日に俺は何か出来るかな?


大好きな貴方のために生きられるかな?












秋の赤く燃える木々のトンネルをくぐって歩いていると妙にサビシクなるんだ。はらはら散っていく木の葉が少し嫌いになっていく。終わりを告げているようだから。


冬の寒い日には、冷たく冷え切った貴方の手を握りしめて、お互いに温めて、暖められて。キレイに彩られたイルミネーションの街の中を出掛けていった。


今、俺の手を温めてくれる大切な人は現れないけれど、見えない貴方を探して両手を暖めてあげたい。






ねえ、一つだけ聞きたいことがあるんだ。俺は今、上手に生きていますか?上手に貴方を想って生きていますか?


はっきりした証明が欲しいんだ。






しぬ事よりも生きることは難しいんだ。生憎、明日へ向かっていく勇気は生きる意味をはっきり教えてくれないけど、貴方が生きたこの世界だから、生きていこうと思うんだ。


大切なものや守らなきゃいけないものがぼんやり見えてきたから。






少しだけ、勇気を俺のために使ってみたくなったんだ。これからの生きていく俺のために。


春夏秋冬、過ぎていく季節を貴方に伝えれる様に。






 
* end *







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