メイン小説 7 「ごめんね、ヒカリちゃん」 「……」 タケル君の言葉が一瞬頭の中に入ってこなくて、その言葉を理解するのに一歩遅れた。 それぐらいに太一に知られたショックは大きかった。 別にやましいことなんてしていない。 だけど、きっと何も知らない太一には“そういう風”に見えているかも。 「タケル君、お願い」 「…何?」 「太一のところ連れてって、誤解されたくないよ」 「ヒカリちゃん…わかったよ、探そうか」 路地裏を出ると、馴染み無い街並みが広がっていた。 道が分からない私はタケル君の一歩後ろをゆっくり歩く。 早く誤解を解きたい気持ちもあるけど、やっぱり軽蔑される恐怖の方が強い。 「あ」 突然目の前のタケル君が足を止めた。 「どうしたの?」 タケル君が見つめる先を私も辿ってみると、“やっぱり”太一とヤマトさんの姿があった。 心の準備はしていたけど、こんなにも早く見つけられるとは思わなかった。 ───世界って狭いなぁ…。 と、そんなことを思っていると、あっちにいる太一とヤマトさんも私達のことに気付いたらしく、こっちに向かって走ってくる姿が見えた。 〔*back〕〔next#〕 [戻る] |