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「……大丈夫だもん、」

頑張って笑っているのに、タケル君の眉はどんどん下がっていく。
それが堪えられなくなってつい、子供みたいにむくれた。

本当は弱いのに無理して強がって、後になって後悔して、涙がこぼれそうになった。
けど何で涙が出てくるのか、わからない。
でも、この苦しくてぐるぐるとしたモヤモヤの気持ちを気付いてくれたのが、太一じゃなくてタケル君だったことがイヤだ。

もし誰かとこの想いを半分個するんだったら、モヤモヤの気持ちを伝えるのは、タケル君じゃなくて太一が良い。

そう思うのはなんでかわからない。
だっていつもの相談相手はタケル君だったんだもん。
…でも、太一といつもその回りにいる仲間を遠目で見ていると、なぜか太一に相談してもらいたくなった。


ごめんなさい、タケル君。
この相談は太一とじゃないとダメな気がする。


「……ヒカリちゃん、太一さんの所へ行ってきなよ」
「!…えっ、」

び、びっくりした。
タケル君はまるで私の心を読んだように、タイミング良く言ってきた。

「ほら、僕ばかりじゃなくてさ、太一さんと話した方がスッキリすることだってあると思うよ?」


……この人は、すごい。
なんだか詳しくは言えないけど、直感的にそう感じた。

「うん……ありがとう」
「ううん、どういたしまして、」


…最後は、作り笑いじゃなくて、本当の笑顔が浮かべた気がする。

たったそれだけなのにちょっぴり嬉しくなって、ふふ…っと、今度は声を漏らしながら笑った。

隣にいるテイルモンはそんな私の姿を見て、つり目を優しく細めながら、

「ヒカリ、早く太一の所へ行こう」

と、ぶっきらぼうに言った。





──いつもより大きい一歩を踏み込む。
タケル君にも言えない想いを打ち明けるため、今、ちょっとした太一捜しの“冒険”を始めよう。


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