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太一視点
「太一先輩!
中間テストって昨日で終わったんすよね?
─…デジタルワールドに行きませんか!?」
そんな大輔の一言で、
旧選ばれし子供達っていうのか、懐かしいメンバー八人でデジタルワールドに行くことになった。
ヒカリやヤマトはもちろん、ミミちゃんに至ってはアメリカからわざわざ来てくれるそうだ。
「…あっでも、ヒカリとタケルは別に懐かしくねぇんだっけか」
なんか、せっかくの休日で体とか休ませてぇのに、悪いことしちまったなぁ…。
昨日だってデジタルワールド行ってきたばっかだし。
「…たいちぃー?どうしたの?」
「ん、なんでもねぇ」
まぁ、ヒカリの笑顔を見る限り無理はしてねぇだろうけど、
ヒカリは自分の気持ちを自分に溜めるタイプだから、少し心配だ。
「無理、すんなよ」
そう言ったら、
ヒカリはちょっと膨れた顔で、うん、とうつむきながら頷いた。
…多分これは、『子供扱いしないでよ』の合図。
でも、俺は別に子供扱いしてるんじゃなくて、ただ心配してるだけだ。
昔みたいなすっげぇ過保護じゃねぇ。
大好きな奴だから、心配してる。
……いや、やっぱ昔からヒカリは大好きな奴だから心配してるんだと思う。
だって俺、過保護の領域越えてたしな?
「…ねぇ、太一」
「あ?どうした」
「えっと…あっち行ったら、『お兄ちゃん』って呼んだようが良いのかな…?」
…確かに、俺らの関係知ってる奴はタケルとヤマトだけだ。
他のメンバーになんて言ったことねぇし、もしそれを言ってヒカリに変な目を向けられるのは嫌だ。
でも、
「呼び方ぐらい大丈夫だろ、タケルだってヤマトのこと、『兄さん』って呼ぶようになったんだし」
呼び方が“名前”に変わったぐれぇで、関係はバレねぇだろ。
俺がそう言うと、
ヒカリは「うん」とも「すん」とも言わずに、首を上下に動かした。
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