メイン小説 2 そういえば、タケル君とヤマトさんの両親は離婚していて、別居してるんだっけ。 そう考えると何だか悪いことしちゃったな…って思った。 無意識にタケル君と目を合わせないようにうつむいてた顔を少しあげて、タケル君の表情を伺うと……。 予想とは反してタケル君は極普通に微笑んでいた。 ─…いつもの彼だ。 「でもあと六日間の辛抱さ、お互い頑張ろうね」 タケル君はさっきとはうんと違い、キラキラした笑顔でそう言うと、男の子達の輪の中に入っていった。 私を元気つける為にそこまでしてくれるなんて…とかちょっと思ったけど、もしかしたら、タケル君は自分自身を元気つける為だったのかな?とかも思ったりする。 どちらにしろ、私は嬉しくてほんの少し、涙が出た。 数日後のテストが終わった日、私は太一にその事を話したら、少し機嫌が悪くなった。 「ヒカリ、元選ばれし子供とはあまり話してなかったんだろ?」 「元選ばれし子供って…」 「だってそうだろ?」 「うん…でもタケル君とは時々話すの、悩みとか聞いてくれてね…」 なんとか機嫌を良くしてもらおうって思って、すっごく笑顔で喋っているのに、タケル君の事を話していくに連れて太一の顔もどんどん悪くなる。 今まで見たことが無いその冷たい視線が怖くて、頑張って笑っていた顔も段々とぎこちなさを感じるのが自分でもわかった。 心臓がグッと掴まれてるように苦しい。 ──どうしたら笑ってくれるんだろう。 冷たい視線からそらすようにうつむきながらそう考えてる内に、私はいつの間にか謝っていた。 「…ごめんなさい。太一、ごめんなさい、怒った顔、しないで」 もう心臓千切れるぐらい苦しくなって、堪えられなくて、太一のそんな顔見たくなくて。 ただ下を向いたまま謝り続けた。 何回もごめんなさいを言ってると、太一は怒ってないよ、と優しい声で言って私を包むように抱きしめてくれて、顔を恐る恐るそっと上げると、さっきまでの冷たい視線は消えていて、心配そうに見つめてくれる太一の姿が間近にあった。 途端にすごい安心感が襲ってきて、何でだか涙が溢れでてきた。 〔*back〕〔next#〕 [戻る] |