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「ヒカリ…ごめん」

そんな私をお兄ちゃんは優しく抱きしめてくれる。
その優しさにまた、どっと涙が溢れてお兄ちゃんのワイシャツを濡らしてしまった。








「…ねぇ、遅刻かな?」

人通りが少なくなった道を見ながら、少しガラガラになった声で聞いた。
平日は毎日毎日通っている通学路に、学生やサラリーマンはすっかり居なくなっていて、今はおばさんやお爺ちゃんぐらいの人がたまに通るだけだ。

私は散々泣いて、結局泣き止むまでお兄ちゃんも一緒に居てくれた。

「良いじゃん、休んじゃおうぜ」

そう言ってニカッと笑うお兄ちゃんの気楽さが少しだけうらやましく思う。
心配性の私には、到底出来ないことだから。

「お母さんに後で怒られちゃうよ…?」
「別に大丈夫だって2人一緒に謝れば恐くねぇよ」
「ふふっ」

──そうだね、2人なら……安心。

いつの間にか、涙に濡れた顔は自然と笑顔に変わっていった。



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