メイン小説 太一視点 日曜日、今日はクラスの奴とサッカーする約束だったんだけど… 俺の妹のヒカリは、風邪をひいた。 「こほっ…ごめんね、お兄ちゃん…」 「何謝ってるんだよ、ほら寝てろ」 体温は…37.7℃。 俺にとっちゃ只の微熱程度だからどうたってことねぇけど、元々低体温なヒカリにとっちゃすごい熱だった。 「…遊びに行っても良いんだよ?今日、約束してたんでしょ?」 寝かしつけてると、途端にぽつりと不安そうにヒカリが言った。 俺はヒカリに伝えてねぇから、母さんから聞いたんだろう。 「気にすんな、どうせ明日学校で腐るほど出来るんだ」 ヒカリが安心出来るように顔中の神経全部使って笑う。 それでもヒカリは俺とクラスの奴の友情だか何だか知らねぇが気にしてる感じで、「でも!」と反論するように声を張り上げたけど、それのせいで激しく咳き込んだ。 「っ、おい!大丈夫か!?」 「…うん、平気」 うん、と言いながらも顔を真っ赤にして大丈夫そうでないヒカリの頭を、俺はそっと撫でながら、「今日はお前1人はさせらんねぇよ」と、心ん中で言った。 今日は俺も、そしてヒカリも遊びに出掛ける予定だったから、それを知っていた母さん達も自分の予定をいれてたし、本来は家が空のはずだった。 だから今日は母さんも父さんも居ない。 こんな時に何やってんだよ、とか思っけど、別に怒っちゃいねぇ。 〔next#〕 [戻る] |