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貴方を愛せる日まで


「おはよ、柳生」

「おはようございます仁王君。」
私には大切な人がいます。
名前は仁王雅治君。
見た目の通り男性なのですが私の1番大切な人なのです。

彼とは入学して部活に入部した頃の出会いでした。

あの時の仁王君との出会いは何かを感じたのです――。


――二年前。

私は今、中庭を散歩しています。
入学して間もないからなのか疲れていたので静かな中庭で息抜きをしている最中です。

少し歩いていると上から声が聞こえてきました。

「あぶなっ!」

「…は?」

突然銀色の髪の人が落ちてきたのです。
咄嗟でしたが…いえ、咄嗟だったので私はその落ちてきた人を抱き留めていました。

「はっ離しんしゃい!」

あまりにも動揺しているようでとても言葉がつっかかっていました…。
(おもしろい…)

「…すみません。」

笑いをこらえながらそっと離してやると、

「、いきなりすまんかったの。」

謝って走っていってしまいました。

家に帰ってよく思い出すととても綺麗で可憐な方で印象強い。

名前を聞くのを忘れたので誰かはわかりませんでした。

靄がかかったまま私は眠りにつきました。次の日の授業中考えるのは昨日の方のことばかりで、あの人は男性なのでしょうが女性とも見える風貌で思い返せば思い返すたび想いが募ります。
やはり1番はまた会いたいという感情です。

そんなことを思いながら部活動に励んでいると遠くのほうにテニス部のユニフォームを着た銀髪のかたがいました。
きっとあの人だとずっと見つめていたらあちらから近づいてきました。

「のぅ…昨日のじゃよな?」

「はい、そうですが…」

とりあえずまあ、わかっていましたが男性だということがわかりました。

「ホントに昨日はすまんかったのケガせんかった?」

「ええ、大丈夫ですよ。」

どこの方言かわからないような言葉を使ったり思っていたより優しい方でした。

「おまんなんて名前なん?」

「柳生比呂士です。」

「そうか、俺は仁王雅治じゃ。」

この瞬間から私はあなたが大切な人になりました――。

それから私達は意外にも気が合う部分が多くあり親しくなっていきました。
私はどんどん愛しくなっていったのですが男性同士の恋愛なんてあちらも迷惑でしょうから何も言えません。
二年生にあがったころ私達はレギュラー入りを果たしダブルスを組むことになりました。
それと男性同士で付き合っている人がいるという話しを聞きました。

そこで私は仁王君に気付かれない程度な質問をしてみようと思いました。

仁王君が男性同士での恋愛に嫌な感情を持っていたら男色のダブルスパートナーでは離れていってしまうでしょう、せめて隣には居たいのです。

「仁王君…。」

「ん、なんじゃ?」

「最近男性同士の恋愛があるそうなのですがどう思いますか?」

「柳生は男が好きなんか?」
「違いますよ、仁王君はどう思うのかと思いまして。」

「俺か?俺は別にええかと思うがの。」

「そうですか。」

「柳生はどうなん?」

「私も別にいいと思いますよ。」

「そうか…、そろそろ帰らんか?」
「今行きます。」

帰路に差し掛かったとき仁王君が口を開きました。

「のう柳生さっきの質問でさ実は俺、男が好きなんじゃ。」

「…そうでしたか。」

正直驚きましたがそのあとには絶望感があたえられました。
同じ男性に仁王君は恋をしているのです私に言ってきたのですから私のことを好きなわけではいでしょうね…。

「でもな俺告白出来んのじゃ、怖くての、根性なしじゃろ…?」

「怖いでしょうねなんとなくわかりますよ。」

(私も同じようなものですからね。)

「でもな好きすぎてとまらんのじゃ抱きしめてほしくて熱がほしいん、側に居たいんじゃ。」

私と同じ気持ちでした。
好きになった人を抱きしめてあげたい私を刻み込みたい、そうしたら私の口から仁王君を試すような言葉が出ていました。

「…仁王君は、私のことを嫌いと思っていませんか?」

「…思っとらんよ」

「ありがとうございます私も仁王君が」

(好きですよ…。)

風が変わる頃にはこの想いを伝えましょうか。
三年生に上がり私と仁王君は今まで以上に会話をよくします。
意識しているわけではないのですが出合い頭によく絡むのです。

そしてその会話の中にはよく好きな方の相談や出来事をよく話されます。
今もそのことで会話をしています。


「でなそろそろ告白せんといかんかなぁと思うんじゃよ。」

「そうですね今の時期あたりまでにしたほうがうでしょうね。」

私は狡い。
彼にはそうアドバイスする癖に告白はしてほしくなくて自分も告白できない

「じゃけど相手は俺のこと嫌いなんじゃろうな。」

「そんなことないですよ。」

「そんなことある絶対嫌いじゃもん。」

「……。」

最近私は仁王君が可愛いと思うようになりました。

既に末期だ…仁王君の目は私には向けてもらえない。
今何かをしないとこのまま終わってしまいそうで…。
(ぁあ、もう、止まらない――)

「仁王君、私は仁王君の事をただの友達だとは思っていません。」

「どうしたんじゃ急に…」

「狡いかもしれませんが言わせてください。」

「………。」

「私は仁王君が好きです、初めて出会ったときから貴方の事が好きで仕方ありませんでした。」


「なんで今…っ」

「すみませ…っ?」

胸元に圧力を感じると思えば仁王君が抱き着いていました。
そして微かにワイシャツが濡れているので
「仁王君泣いているのですか?」

恐る恐る尋ねてみると返事がないかわり更に力を込めて抱きしめてきたので抱きしめ返しました。

「やぎゅう…」

「なんですか?」

「もっと…もっと、早く言ってくんしゃい」

「俺も好きじゃった…。」

「ありがとうございます」

礼しか言えないほど余裕がなくて…

遠回りしましたがやっとたどり着いた…

貴方を愛せる日まで。

end

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