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腐男子君の妄想恋愛学園
お城ですか?いいえ、寮です。





「これまた予想以上の寮だね〜」

「王道学園には欠かせない寮でしょ?」

「まぁ〜確かに☆」

「……ほら、行くぞ」

目の前に広がるヴェルサイユ宮殿。
校舎も城みたいだったけど、こっちはこっちで豪華な造りだ。
見上げても先が見えないほど高く、全校生徒が住んでいても余るくらいの広さ。
見上げていたヴェルサイユ宮殿から右隣にいるココへと視線を変え、俺はテンションMAXでココの肩をバシバシ叩いた。

「ココ殿、ココ殿ッ!!寮監様は美形?それとも綺麗系?ドSでもいいけど、寮監の権限使って部屋でアンアンなことしてる奴!?いや…きちんと寮監としての務めも果たしつつ、お気に入りの王道転校生を部屋に招いてお茶とかしてるとかか!!!!」

王道学園なら必ず寮監はいるだろッ!!


―――――…ん、待てよ。


……そういえば、門番の守衛さんの姿が見えなかったのは俺の見落としかっ!!
おおおおおおおお、俺としたことがッ!!どうした俺?!どうして結構重要なポディションの守衛さんを忘れてるッ!!!いや…もしかしてこの学園って守衛さんいないとか?…いや、いるだろ!?いてくれなきゃ困る。俺の王道転校生との萌えには必須なお方よ。一番は生徒会とのチョメチョメだけどさ。守衛とかホスト系教師とか、俺様保健医とか甥溺愛理事長とか(全さんはちょっと特殊だけど)…あと……星矢さんは…駄目。絶対にダメだ!!!だって星矢さんは俺の癒しっていうか、他のカッピーで、既に固定されてますから!!相手っすか?そりゃ〜ヒミツ。まぁ…答えはまた今度、ということで。
…って、星矢さんのことは置いておいて。
守衛さんの存在だよ、ここメッチャ重要!!!
もう一度言うけど、これ重要だからね!!

「ココっ!!」

「うえっ、なっ何?!」

「守衛さんはッ!!なんで守衛さんいないわけ?!ってか、いるよね?寮監さん並に重要人物だよ!ココだって思うだろ。ホスト系教師とか、俺様か鬼畜保険医とか、いや妖艶な保険医でもいいよ。あと一匹狼とか爽やかスポーツ少年とか王道転校生には必須なお方たちだよ!!副会長はすでに会ってるから理想そのものだって知ってるけど。ココだって王道学園には必須だって知ってるだろッ!!」


ぐわんぐわんとココの肩を揺らす。
だって、俺的に王道学園にはさっき挙げた人たち重要なのよ。
それなのに、その一人である守衛さんがいないとかテンションが下がる一方だし。

すると、いきなり首根っこを引っ張られる。

あれ〜視界がいきなり高くなってない?
うわぉ、急に成長しちゃったよ、俺。
これでチビなんて言わせないぜ☆

「…高くなってないからな」

「………少しくらい夢みさせろよ、りっちゃん」


俺を持ち上げたりっちゃんを恨めしく睨みつけて「ぶー」と唇を尖らす。
人の夢と書いて“儚い”と書く…………どこの誰かは知りませんが、よく思いついたよ。
まさに今の俺じゃね?


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