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友情と恋情の狭間で
秋風

暑かった夏も過ぎ、ようやく涼しい秋風が吹き始める。
一週間後には紅葉祭も開催され、役員の凛太郎は忙しい日々を過ごしていた。
俺はというと凛太郎が終わるのを待ったり、雅明さんの帰りをマンションで待ったりしていた。

今日はどうしよう。
凛は、いつものように遅くなるだろうし…。
雅明さんは、仕事で帰宅が深夜になるって言ってたしなぁ。


携帯と睨めっこの繰り返し――――。


すると、画面が光りだし見知った名前が表示された。

「薫さん!!!」

俺は通話ボタンを押し、素早く携帯を耳に当てる。

『もしもし…?』

落ち着いた柔らかい口調が耳に届く。

「こんにちは、薫さん」
『はい、こんにちは。今、大丈夫ですか?』
「うん、大丈夫」

受話器からクスっと笑った声が聞こえる。

『今から夢月に来ませんか?今日は、お二人とも忙しいと聞いていたので』
「夢月に?」
『はい。知泉君がよければですけど?…どうですか?』

俺は首を上下に動かしながら「行きます」と大きな声で答えた。
薫さんはまた小さく笑っていたけど、俺は一人きりになる時間が潰れることが嬉しくてしょうがなかった。

『では、迎えに行くので大学で待っててくれますか?』
「はい、待ってますね」

そう言い終わり、俺は電話を切った。
心地よい秋風が吹き抜ける――――。
俺は携帯を鞄にしまい、そっとベンチの背に身体を預けた。
見上げた空は、雲一つなく綺麗に澄み渡っていた。


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あきゅろす。
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