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友情と恋情の狭間で


「……また変なことしたら、………わかってるな」

青ざめた額から、一筋の汗を垂らしながら二人は慌てて逃げていった。
逃げる前に何か言っていたようだけど…俺は聞き流した。
あの二人の言葉など聞いていても意味がないから。

俺の背中から二人を眺めていた青年が、不意にこちらに顔を向ける。

「…大丈夫か?」
「…あ、はい」

顔はまだ恐怖の色を残している。
しかし、しっかりとこの青年の顔を見たとき俺は心臓が止まりそうになるほどの衝撃を受けた。

――――知泉!?

ずっと探していた幼馴染にそっくりな顔。
しかし、どこか雰囲気が違う。
数年で人は変わるものだろうか…。
いや…実際に自分がかなり変わったのだから変われるだろうけど…。

でも、どこか根本的に違うのだ。
知泉にそっくりでも…全く別の人間のような…。

(…まぁ、世の中に似た人は三人いるんだし。似た子がいてもおかしくないか…)

少し強引だったが、自分の心を整理するには一番効果的な対処法だった。




話していても、どこかやはり違った。
違うのに…変な違和感を感じずにはいられなかった。

俺の名前を言い、相手の名前を聞こうとしたときだった。
遠くのほうから誰かを呼ぶ声が聞こえ、目の前にいた子はすっかり俺の存在を忘れてしまったのか。
友達のほうへと一目散に走っていってしまった。


まぁ…同じ大学ならまた会うか。


そう思って俺は二人から目線を外し、駐車場へと足を向けた。




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