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友情と恋情の狭間で
偶然の遭遇

講義は四限目に終わっていたのだが、教授に捕まってしまい雑用を頼まれてしまった。
「簡単だから、すぐに終わるよ」という教授の言葉を信じた俺がいけなかった…。
始めて二時間もかかる雑用を“簡単”というだろうか…。
やっとのことで終え、いつもなら家にいるはずの時間に学校にいた。

…お人よしにも程があるよな。

俺は自分の性格を呪っていた。
頼まれると断れない―――。
こういう性格のせいで、高校でも先生に雑用をよく頼まれていた。
生徒会長でもあったので、そのせいでもあるだろうけど…。

薄暗くなった空を眺めながら駐車場へと向かっていると、ふと見知った姿が目に入る。

「…あれって、安部と磯山?」

高校の頃の知り合いを目にするのは、あまり変わったことではない。
しかしその状況があまり好ましくなかった。
遠くからでも分かるほど、二人に囲まれている子は怯えていたのだ。

「…あいつ等」

呆れ気味に俺は溜息を零す。
あれだけ人に迷惑をかけるなって言ってるのに…。

俺は早足で、三人に近づきドスのきいた声で声をかける。

「手を離せよ。安部、磯山」

俺の声にビクッと肩を震わせる二人。

「聞こえなかったのか?…その汚い手を放せって言っているんだ」

俺は言い聞かせるように言い放つ。
俺に怯えたのか、安部は掴んでいた手の力を緩めた。
その隙に囲まれて怯えていた子は、急ぎ足で俺の後ろへと隠れる。
俺はその青年に微笑み、ゆっくりと二人のほうへと顔を戻した。


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あきゅろす。
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