友情と恋情の狭間で 匂い 「どうする?昼ごはんを先に食べるか?」 玄関の扉をくぐり、リビングへと進む。 俺はいつもの指定席である大きなソファに腰を下ろし、キッチンへ立つ雅明さんを見つめた。 「うん。お腹空いちゃった…」 俺は両手をお腹へと当て、今にも鳴りそうな腹の虫を抑えた。 そんな俺の光景を眺めていた雅明さんは、小さく肩を震わせながら笑った。 「分かった。…すぐに出来るから知泉は少し待っててくれ」 キッチンのほうから、フライパンで何かを炒める音がし始める。 俺はその音を聞きながら、そっと目蓋を閉じた。 心地よい音――――。 そして、安心する匂い――――。 ソファから雅明さんの匂いが微かに鼻を掠めた。 雅明さんの匂いだぁ……。 俺は心地よい音色と匂いに、ウトウトし始めていた。 あぁぁ…ダメだ。すごく眠くなってきちゃった…。 そう思ったが最後――――。 俺は深い眠りへと落ちてしまった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |