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友情と恋情の狭間で
会いたくて

あの後は、凛太郎と講義のことを話して時間を潰した。
そうしていると、俺の携帯が振動しメールが来たことを知らせる。

「着いたみたい」

俺は、目を細め笑う。
そんな俺の笑顔に凛太郎も笑顔で返し立ち上がった。

「じゃ、後で合流しよう。それまで日向さんと仲良くな」

「うん、分かってるよ。凛も早く終わらせて来てね。雅明さんと薫さんと待ってるから」

「あぁ…俺も早くかおちゃんに会いたいし。すぐに終わらせて行くよ」

俺は雅明さんが待つ駐車場へと向かい、凛太郎は校舎内へと姿を消した。




俺は歩いて向かっていたが、いつの間にか早足で駐車場へと足を運んでいた。

(会いたい…。早く会いたい)

俺は雅明さんに会えると思うと嬉しくて、駐車場までの道のりを全速力で走っていた。
駐車場が見えると、いつも見慣れた黒い車が目に入る。
乗っていた人物も俺の姿に気づいたのか、運転席から降りて車の横に立った。

「そんなに急がなくても大丈夫だぞ」

雅明さんはクスクスと笑う。
俺は恥ずかしくなったが、呼吸が乱れているのを無視して頬を膨らませた。

「だって…早く、会いたかった…から」

呼吸を正しながら、俺は雅明さんを見つめる。

「俺も会いたかった。さぁ、早く家に帰るぞ」

そう言って、雅明さんは助手席の扉を開けてくれた。
いつも車に乗る時、雅明は運転席からわざわざ降りて、助手席のドアを開けてくれるのだ。

「そんなことしなくてもいいのに」と以前言ったんだけど「俺がしたいからするんだ」と有無を言わせぬ物言いと笑顔に、俺はそれ以上何も言えなかった。
その行為は嫌ではないのだが、やはり人の目がある時は恥ずかしい。
大人の余裕というものなのだろうか…。
そのときの雅明さんの笑顔は、男の俺が言うのもあれだけど…すごく魅惑的な微笑みだった。




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