友情と恋情の狭間で
好きって気持ち
雅明さんにメールを送ってすぐに返信メールが届く。
『すぐに迎えに行く』
絵文字もなく短文のメール―――
それでも、雅明さんの優しさが込められていることを俺は知っている。
いつも優しくて、俺を温かく包んでくれる大きな腕に、落ち着いた声音。
「家から来るなら、15分くらいで着くな」
凛太郎が携帯で時間を確かめながら言う。
俺はさっき届いた雅明さんからのメールをじっと眺めていた。
眺めている――ではしっくりこないかもしれない。
見惚れていた――のほうがピッタリだった。
「本当に、知泉は日向さんが好きだな」
呆れ顔で凛太郎が俺の顔をのぞき見た。
「…好き?」
「……違うのか?」
俺は凛太郎の言葉に首を傾げる。
凛太郎は凛太郎で、俺が即座に「好き」と返してくると思っていたらしく驚いていた。
「………好き?雅明さんは…違う」
俺はさっきまでとは全く違う低い声で言い放つ。
「そっか…」
そう言って、やっぱり凛太郎は俺の頭を優しく撫でる。
その優しい眼差しに、俺の心に潜んでいた暗闇が隠れ出す。
―――好き?
好きって何?
桜が好きとか、空を眺めるのが好きっていう気持ちと同じなの?
人を好きになるってどういう気持ち?
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!