17
一が職員室の扉を開けて、入っていく。
目的の人物を見つけ、その人物のところで止まる。
「森屋(モリヤ)先生、遅くなりました。新しい生徒です」
呼ばれて振り返った人物。
茶色のゆるいウェーブがかった髪を後ろで高くしばり、ナチュラルにメイクされている。
垂れ目な目は黒色で、ピアスをしていないことから純血な人間だとわかる。
「あら、一君がじきじきに?ありがと。私、森屋 麻里(モリヤ マリ)よ。A組の担任なの。よろしくね」
かよわそうに見えるが…担任だからきっと強いのだろう。
「よろしくお願いします」
お互い挨拶を交わした後、一は仕事があると言って職員室を出ていった。
「お昼は?」
「…まだとってません」
「じゃあこちらへいらっしゃい」
そう言って森屋先生は立ち、職員室の端にある扉の向こうへと入った。
中は応接間となっていて、テーブルには2人分の飲み物とサンドウィッチが既に用意されていた。
「さぁどうぞ、一緒に食べましょう?」
「…ありがとうございます」
椅子に座り、お互い昼食をとりながら学校のことを説明してくれた。
登校時間から授業の内容、昼食のことや、寮のことなど細かく説明してくれた。
「次の話が肝心よ。よく聞いて」
テーブルにあったサンドウィッチは既になく、森屋先生が飲み物を一口飲んでから話し始める。
「今、この学園は3グループに別れているの」
「…3グループ?」
問い返すと森屋先生は強く頷き、深刻そうな顔で話した。
「属性抗争よ。狼と蝙蝠とで別れ一部しかいない人間は中立となっているのだけれど…。あなたがどこに行くかわからないけれど、狼と蝙蝠には気を付けてね?…噛まれたら終わりよ」
噛まれたら、終わり。
過去に噛まれて劣性になってしまった生徒がいたということか。
「…わかりました。気を付けます」
言った途端に遠くの方から鐘が鳴った。
「さぁ、私のクラスで自己紹介しましょうか」
「…」
…一、言ったら悪いが、この学園…すごくめんどくさいかも。
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