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「───…」
目を開けるとまばゆい光がカーテンの隙間から見える。
見覚えのある天井。
起き上がってカーテンを開けると、前まで生い茂っていた木々は既に枯れていた。
何故か体は軽く、感覚が鋭くなった気がする。
「…っ?!せせせせ千都さん?!」
寝室の扉が開いて驚きながらやってきたのは、見覚えのある人物。
茶色の坊主程ではないが短髪。灰色の制服を着て、手には何故か掃除機を持っていた。
「体の調子は大丈夫ですか?!俺のこと覚えていますか?!俺の力不足で…すみませんっ」
「一、とりあえず落ち着け」
慌てている一を落ち着かせて、今にでも落としそうな掃除機を床に置かせた。
そのあと、一が飲み物を持って来て、俺に渡してから近くの椅子に腰をかける。
「千都さん、本当に体調は大丈夫なんですか?」
「ああ、体がすごく軽いんだ」
そう言うと一が顎に手を当てて少し考え、その後に俺の方を向く。
「千都さんちょっとすみません」
「…?」
一は椅子から立ち上がり、俺の首を触れてきた。
「やはりこのせいですか…」
「何がだ?」
そう言うと一は俺の腕を引っ張り、鏡の前に立たされる。
「首を見てください」
鏡の近くに寄って首を見てみると、見覚えのある封印術と見たことのない封印術が施されている。
「俺噛まれたんだっけ…」
育成大会の時に狼属性に噛まれ、終わった後に蝙蝠属性に噛まれて、俺は…。
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