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ずるいから好きです(仁王雅治)













「はいはーいっ!ジャンケンで負けた人がコンビニに行って買ってくるがいいと思いまーす!」


死ぬほどキツいと名高い立海大テニス部の部活動が終わり、疲れているかと思いきや、そのメンバー達により、じゃんけん大会が行われようとしていた。


「ちょ、待てよ!1人3つってどんな計算だよ!」


赤也の発言にジャッカルの顔が真っ青になる。


「俺はいらん。」


真っ青になるジャッカルの隣で、真田はてきぱきと着替え、帰る準備をしていた。


「俺はバナナにミルクがいいぜよ。」

「仁王先輩、変態は黙ってて下さいよ。てか男でしょアンタ。」


萌えませんよ、と赤也は、ラケットをくるくる回しながらニヤニヤと笑う仁王に冷たく言い放った。


「じゃあ俺は苺とー、メロンとー、」

「……丸井君太りますよ?」

「……と、柳生は言う。」

自由奔放に話を盛り上げていく立海大テニス部員達に、友伽里の口元は引きつる。


『あは、あはは。』


立海大のマネージャーを始めて、もう二年になる。

先輩たちにとっては最後の夏。


「てかー、ジャッカル先輩が買ってきて下さいよー!」

『こら、赤也。』


同じ学年の赤也を引っ張り、先輩に失礼でしょ、と付け足した。


「じゃあ、赤也と二人で買ってきてくれんか?」

『え……?』

「なっ、……はーい、おら、行くぞ。」


仁王先輩は窓から校庭を見ながら言った。

それを聞いて赤也は私をぐいっと引っ張り、無理矢理歩かせた。


『赤、也……。』

「気にすんな。」

『……うん。』


赤也が引く腕は暖かかったけれど、頬を伝う涙は風に触れて少し冷たかった。


「おーい赤也。」

「何スか?」


部室から再び仁王先輩の声がした。

過剰に反応してしまう私の心。


「女の子なんじゃから、赤也が荷物持たんといかんぜよ?」

「……了解っス。」


ねぇ、貴方に聞きたいことがあります。

あの時、怖くて聞けなかった事。


『ごめっ……赤、也っ!』

「泣け。」


“私の事、本気でしたか?”

赤也の肩に顔を埋めて私は泣いた。









ずるいから好きです
(思い切り突き放してくれれば、忘れる事が出来るのに。)


2010/12/04
いつか連載にしたいな、これ。


あきゅろす。
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