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きみ攻略マニュアル(不二周助)
「来るっ!」
僕の予想では、後30秒後に彼女は校門をくぐるだろう。
不二は木陰からゆっくりと歩みだし、校門の方へ近付いた。
手首に付けられた腕時計を見つめながらあるく。
「(……右斜め30゜。)」
ゆっくりと歩幅をずらし、あたかも時間を気にしているように歩むスピードを上げる。
「(後1メートル!)」
ドンッ
「うわっ!」
『きゃっ!』
不二の腕と女生徒の肩がぶつかる。
「大丈夫?ごめんね、急いでたんだ……、」
不二は尻餅をついた少女に少しだけ屈んで手を差し伸べた。
「怪我、ないかい?」
『あ、は、はい!』
何が起きているのかわからないと言ったように、少女は目をぱちくりさせた。
そんな少女に不二は、微笑みながら首を傾げた。
「ははっ、どうしたの?そんなに驚いて、」
『え、いや、不二先輩だぁ……、と思いまして。』
ああ、
君は可愛すぎるよ。
ずっとずっと欲しかった。
「ふふっ、友伽里は可愛いな。」
『え、何で私の名前……、』
「あ。」
さらに驚いた顔をする友伽里に、何事もなかったかのように笑いかけた。
「まぁ、いいんじゃない?さ、僕と教室へ行こうか。」
『え、え?』
この半年、僕がどれだけ君を観察してきたか。
朝から晩まで、君を見つめてきた。
君のことなら何でも知ってるよ。
[好きなタイプは王子様]
[好きな仕草は首を傾げる]
[好きな人は不二周助]
「荷物持とうか?」
『い、いいです!大丈夫です!』
「遠慮しなくていいのに。」
ずっと好きだった子に初めて声をかけるのに、何度もシュミレーションを繰り返した。
君を知り尽くして、やっと声がかけられました。
「僕達、両想いだね?」
きっと君の反応は、僕の手を握る、かな?
きみ攻略マニュアル
(多分、最後の情報がなかったら、声はかけられなかっただろうな。)
2010/07/09
計算高いフリして、実はヘタレな不二先輩も格好良い。
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