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きっと夢中にさせるから(跡部景吾)











俺の彼女はオタクです。


「おいっ、忍足!」

「そんなに怒ってどないしたん、跡部。」


俺は怒鳴りながら部室に入り、忍足の前で仁王立ちした。


「お前、俺のモンに手、出してねぇよな?」


ギロリと冷たい目で忍足を睨んでやった。

部室にも緊迫した空気が流れるのがわかった。


「は?出してへんよ。だってお前敏感やし。」

「なっ、そういう問題じゃねぇだろ!」


俺が怒鳴ると、ガシャンと荷物が落ちる音がした。


「……友伽里。」


俺が振り返ると、顔を真っ赤にした友伽里が立っていた。

友伽里はテニス部のマネージャーだ。


「悪い、……俺はお前の事を、」


俯く友伽里に不安になり、俺は友伽里の肩を抱く。

すると友伽里は勢い良く顔を上げて俺を見つめた。


『ごめんねっ!お邪魔したよね!侑士もごめんねっ!』

「な、な……っ!」


俺が言葉を無くしていると、後ろから忍足が友伽里に話し掛けた。


「友伽里も相変わらずやな。……で?今回は何処に萌えポイントが?」


ニヤニヤと俺の肩に手を乗せて、忍足は友伽里を見る。


『いや、萌えっていうか反則?なによ、景吾が敏感って、夜ですか、夜なんですか!』


そう、俺の友伽里は自重を知らない。

そして俺と忍足をただならぬ関係だと決め付けて、彼女という地位を忘れて悶えやがる。


「……友伽里。行くぞ。」

『え、侑士と話さなくていいの?』


これは日常茶飯事だ。

俺は少々ムスッとして友伽里手を引いて部室を出た。


『景吾、怒った?』


俺がグイグイと引っ張っていると友伽里が不安そうに尋ねてきた。

俺は立ち止まって後ろをむく。


「いや、ちょっとな。」

『?変な景吾。』


俺が意味深に笑うと友伽里もにっこり笑ってくれた。

そして俺に一言、


『侑士との内緒話は場所をわきまえてね。』


と、言い残し、走っていった。


「はっ……、」


俺の彼女は相当手強い。








きっと夢中にさせるから
(君の瞳に俺だけが映るように)


2010/07/09


あきゅろす。
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