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この恋、きみ色(丸井ブン太)










『今日は絶好の体育祭日和です!皆さん、気を引き締めて楽しんで下さいね!』


炎天下の中、一際キラキラ光ってる君。

この歳になってくりゃ、体育祭なんて大概は面倒な行事。


「ちぇーっ、全く面倒だぜ。」

「まぁ、1日位我慢するきに。」


我慢すると言う割には、仁王の周りは快適に見える気がするんだが……。


「おい、何か周りに湧いてるぜ。」

「ああ、女の子は別じゃき。」


仁王の周りには取り巻きの女子達が居て、仁王を団扇で扇いだり、ドリンクを渡したりしている。


「お前、すげぇな。」

「くくっ、そうじゃね。」


俺は別に、仁王を注意したりしない。

寧ろ、その状況を喜んでしまう。

こんな風に、変で、嫌な感情が出てきたのは、半年前位だった。

半年前、俺は現生徒会長の秋風友伽里に、恋をした。


力強い瞳。

優しい心。

全てが欲しくなった。


『ちょっとー!真面目に行事に参加しなさい!』


何かに気付いたように、友伽里はこちらに走ってきた。

そう、俺がずっと仁王と一緒に居る理由。

それは君に近づくため。


「全く、生徒会長はうるさいのぅ……。」

『知りません!ほら!早く移動して!』

「はいはい。」


クスクス笑いながらも、友伽里の頭をポンポンと軽く叩き去っていく仁王。

それに嫌だと反抗しながらも顔を赤くする友伽里。

君は仁王に恋してる。

それは半年前の時点でわかっていたんだ。


『もうっ……、女の子連れて……、』

「ははっ、友伽里会長は素直じゃねぇなぁ。」

『うるさいなぁ!ブン太君の意地悪っ!』


照れながら走っていく君。

本当は後ろから手を伸ばして抱き寄せたい。

だけど、今はダメだから。


「あああーっ!面倒臭ぇっ!」


ガシガシと頭を掻きながら、俺は自分のクラスのテントに戻った。


「ブーン、会長と何話とったんか?」

「あー、……内緒。」


あいつの気持ちを知ってるのは俺だけでいいんだ。

俺は仁王に、にやりと笑い、生徒会テントを見た。


「……今日も頑張れ。」


伝えられないけど、心の中では願わせろよ?

太陽の下で笑う君は何よりも素敵で、大切なんだ。

そう、俺は思ってる。








この恋、きみ色
(俺の世界が君を待ってる。)


2010/07/01


あきゅろす。
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