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今からきみに告白します(菊丸英二)










『英二ー!行くよー?』

「……嫌だっ!」


下の階から友伽里の声が聞こえる。

俺は何と言われようとこの部屋からは出ない。

決めたんだ。


『もー、挨拶に行くんだからー。』


タンタンタン、

嫌だ、来ないで、来ないでっ!

友伽里の足音が俺の部屋の前で止まった。


『えーじ、……入るよ?』

「……っ!ダメ!」


ドアノブを回そうとした友伽里の手が下がった気がした。

と、同時に聞こえた溜め息。


『……どうして、そんなにお姉ちゃんを困らせるのよ。』

「っく、……う、ぇっ、」


カチャリと俺の部屋のドアが開いた。


『英二。』

「友伽里っ……。」


振り替えると、綺麗な服を着た友伽里が少しだけ困った顔をして立っていた。


『……お姉ちゃん、でしょ?』


友伽里の顔を見ると、我慢出来なくなる。

もっと、もっと困らせたいんだ。


「っ、何なんだよぉ!友伽里は解ってない!俺はどうしたらいいんだよぉ!」

『え、いじ……!』


友伽里の肩を強く掴んで俺は顔を埋めた。


「嫌だ!友伽里が他の家に行くなんて嫌だ!ずっと一緒に居てくれるんだろ!?」


困ってる、友伽里は優しいから。


『英二、私、結婚するのよ?』

「友伽里……、」


ゆっくりと友伽里が俺の腕を拒んだ。


『いくら私達が愛し合っていたって、血にはさからえないのよ……!』


とても苦しそうに友伽里は呟いた。

そう、知っていたんだ。

友伽里だって俺に特別な感情を持っていることくらい。

弱くてズルい俺は、友伽里に甘えたんだ。


「……姉ちゃん、行かないで、」

『……下で待ってるわ。』


ああ、本当に行ってしまうのか。


「俺、姉ちゃんが好きだったよっ!」


せめて最後だけは、君が好きだと行ってくれた俺で。


「姉ちゃん、本当に……。」


1人残された部屋で俺は涙を拭った。







今から君に告白します
(伝わるのだろうか、禁止された愛の言葉は。)


2010/12/10


あきゅろす。
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