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残念ながらべた惚れ(忍足侑士)







「友伽里〜!あれ?帰らへんの?」


俺は彼女である友伽里を迎えに来た。

帰宅部の友伽里は放課後は勉強してんねん。


『あ、うん。ちょっと待って。』

「おー。」


少しだけ淋しいんやけど文句は言わへん。

友伽里が待ってんのは、俺やって知っとるから。


『侑士?』

「なん?」

『何読んでるの?』


しかめっ面で、俺の手元を見た。


「あ〜、恋愛小説。」


こういうもんを読んでる男って少ないやん?

彼氏が自分の好みの本読むとか、かなりツボやろ?

せやけどな、コイツは違う。


『侑士……、気持ち悪いよ。』

「……はい。」


バサッと言い捨てて、友伽里はまた勉強し始めた

友伽里はな、相当のクールビューティーさんなんや!

せやから、俺がどんだけラブコールしたって、気付けへんねん!

忍足は、友伽里をじっと見つめた。


『今度はなによ。』


友伽里は、半ば呆れたよう侑士を見てシャーペンを動かすのをやめた


「…俺、友伽里が喜ぶような俺になるで、」

『はぁ?』


また侑士が変な事を言い出したと、友伽里は顔を歪めた。


「本気やで?俺、クールになる。」

『例えば?』

「もう人前で抱き付かへん。」

『それで?』

「友伽里の弁当を横取りしたりせぇへんっ!」

『ふーん。』


友伽里は腕を組んで、正座している侑士を見下ろす。


「……ダメなん?」


不安げに友伽里を見つめる侑士。


『………ダメ』

「なんで!?」


嫌いにならんといてっ!と言って、侑士は友伽里の腰に抱き付く。


『だって…、クールな侑士も好きだけど、そうなっちゃったら…、いつ、ラブラブできるの?』

「っな!」


ギャップやっ!
なんなん!?

この姫さんは俺を死なせたいんかっ!

あかんっ!

いつもはクールな友伽里が可愛くて仕方あらへんっ!


『ゆ、侑士?』


友伽里が侑士の顔を覗き込むと、侑士は、友伽里の唇に自ら唇をあてた。


「めっちゃ好きやで!友伽里!」

『はっ、恥ずかしいっ!』


ばっと侑士から離れて、友伽里は、また勉強し始めた。


「ホンマ、かわえぇな〜」

『うるさいっ!』









残念ながらベた惚れ
(俺、友伽里がおってくれるんなら死ねると思うで。)


2010/07/01


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