先生、
先生、びっくりです。
昨日の一件以来、まともに先生を見る事ができない。
百合達がせっかく私にチャンスをくれているのに、素直に喜べないのは私がまだ幼いから?
「…さん?」
ほらね、幻聴まで聞こえだしたぞ。
やばいな…。
「歩美。」
『うわっ!は、はい!』
先生の綺麗な顔が目の前にあって、変な声をあげてしまった。
「くすっ、大丈夫?そういえば、なんだか悪いけど言わせてね?………ここはどこかな?」
ニコニコ笑いながら先生が私を見たので、私は辺りを見回した。
『あ、れ?』
どこだ、ここ。
視界に広がっているのは緑色。
先生を学校案内していたつもりがわけのわからない草村に来てしまった。
「……どうしたのかな?」
『さぁ…、もう私にも何が何だか。』
どうしてだろう。昨日の事を考えすぎていたのかな?
百合があんなこと言うから。
「そうじゃなくて、堀池さんが。」
『………。』
先生は知っているのかな?
私達が出かける事。
「もしかして、今度の日曜?」
『!?』
先生の言葉に驚いてしまった。
その私の顔が可笑しかったのか先生は、クスクス笑っていた。
「知ってるよ?真田が…、あ、いや、真田先生が言っていたから。」
『あ、そ、そうですか!』
恥ずかしい!
助けて!
『べ、別に変な意味ではなくて!いや、も、すみません!』
穴があったら入りたい。
益々何が何だかわからなくなってしまった。
『ていうか、無理ですよねっ!本当にスミマセン!真田先生にも言って…ってあれ?……真田?』
“真田…、いや、真田先生が言っていたから。”
先程の先生の言葉を思い出していると、幸村先生はニッコリ笑った。
「真田と俺、知り合いなんだよ。」
『え、ええ!?』
あの真田先生と…?
『ど、どうして…?』
その時、近くで予鈴がなるのが聞こえた。
「どうやらここは高等部のようだね…。うん、しばらく話そうか!」
先生は次の時間は空いているんだ、と言って笑いながら草村に腰掛けた。
『は、はいっ!』
神様、私、幸せです!
先生と授業をサボれるなんて…!
先生は沢山の事を話してくれた。
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