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先生、
先生、大変です。






『ここが、第二研究室です』



パタパタとシューズが鳴り、自然と小走りになる。


先生との初めての二人きりの時間。


ただの生徒、ううん。学級委員として先生を学校中案内して回った。




「へぇ…素晴らしいね。沢山の薬品がある。」



『はい!でも、こっちの第二研究室はあまり使われていないんですよ。危ないから。でも薬品の種類なら第一研究室よりも豊富だと思います!』



先生に私を沢山見てほしくて、自然と早口になってしまう。



ぐいっ



『うわっ!』



「あ、もう少しで予鈴がなっちゃうね…」



先生は私の手首を優しく掴んで引っ張っり、私の腕時計を覗いた。



『あ、は、はい…!』



嫌だ。
絶対に、今の私…
顔が赤いと思うっ!



「今日はありがとう。また明日もお願いして大丈夫かな?」



そんな私を余所に、幸村先生はニコリと微笑んだ。



『はいっ!もちろんですっ!』




もう、どうにでもなれっ!

私は赤い顔を先生へと向けた。


「クスクス…元気があってよろしい!」




先生はズルいと思う。


自然体なのか、わざとなのか。


私は先生の一言に、とっても振り回されてる!


恋をすると、何もかもが楽しくなるんですね!

お母様の仰る通りだわ!



















「で、先生とどうなの?」



『な、そんな、何もなかったわよ!』



教室に着くなり、百合に保健室へと連行された。


勿論、真田先生も一緒に。


「まったく…二人ともサボるとは、たるんどる!」



「いいじゃない!先生に会いに来たんだから!」



「う、うむ。しかしな…」



真田先生は、百合には何も言わない。

惚れた弱味というヤツだろうか。



「もう!先生は黙って!で?どうだったのよ!」



『ふふ、二人とも可笑しい…。』



私が笑うと、真田先生と百合は顔を見合わせた。

少しだけ二人は顔が赤い。

からかおうとしたら、先に百合がニヤッと笑った。




「あんた。覚悟しなさいよ。」



『え?』



私は気持ち悪いほどニヤニヤと笑う百合に苦笑いした。



「今週の日曜日。歩美は幸村先生と、私は勿論、真田先生とデート。わかった?」



はい?



真田先生を見ると、苦笑いしながら頷いている。



「すまないな。百合がどうしてもと言うのだ。」



『は、ちょっと待って。思考が追い付いてくれない。』



「大丈夫よー。日曜日までに追い付いてくれれば。」



『いや、そういう意味じゃなく……。』



私が一人、パニックに陥っているというのに、真田先生と百合はどこに行くかを話し合っていた。




とにかくどうしましょう。




助けて下さい。










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