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飴玉注意報
今度は何処で?










ピッピッ…





無機質な機械音が鳴る




大好きな彼女の腕には
細いチューブが繋がれていた

俺は、そんな彼女を見て、何もできなくて…

その場を離れた














「お見舞い、行けばよか」




「………無理」





「なんで」






また、君の居ない毎日が始まった

俺は君を知る前の生活に戻るだけ

大丈夫。何も変わらねぇ






「俺が倒れさせた。だから会えねぇ。今更どの面さげて行きゃいーんだよ」




会いたい




「つーか、俺を待ってたとは限らねぇし?」





ずっと待っててくれた





「………ブン太」





んだよ、なんで仁王まで、そんな目で見んだよ

俺は悲しくなんか無いんだ




「ブンちゃん。泣きんしゃい」






「……っ」





お前には勝てねぇよ


やっぱり最高のダチだな





「本当は…嬉しかったんだ」




仁王は、ブン太の頭をポンポンと優しく撫でた




「ん……」




優しく、相槌をうちながら




「でもっ!怖かった…!いきなりアイツ…身体冷たくなって…びっくりした」





“ブン太くん?”





君が笑いかけてくれたのは、紛れもなく俺で


それが余計に悲しかった


愛する人を、傷つけて






「っく、…う…」






「男が泣くもんじゃなか。次は俺が何とか言っちょってやるけぇ、お前さんは病院に行って来んしゃい」





パッと、ブン太は顔をあげて涙を拭いた





「さんきゅ!仁王!」




俺、お前には超感謝してる。



ブン太は走って教室を出ていった

次の約束を君と交わすため





「ブンちゃん…頑張りんしゃい」





ブン太は笑顔が似合うぜよ









































ピッピッ…



また、無機質な機械音が俺の心を惑わせる



来て良かったのか、と





「す〜〜〜ッゴホッ!ぐぇ」




おもいっきり息を吸って、失敗。

君の病室の前に居るのに、かなり緊張してる


名前、こんな形で知ることになるなんてな


病室のプレートには


東宮明菜


と、書いてあった





「東宮…」





口に出しただけで幸せになる。
多分、俺、今一番幸せ。




1人でプレートの前でニヤニヤしていると、スッとドアが開いた






『誰かいるの……?あ、』





「あ、」






…………



どうしよ。


会っちゃった




しかもニヤニヤしてる時






『ブン太くん…入って?』





「お、おう」






ブン太が黙っていると、東宮が病室へと案内した






『ごめんね、びっくりしたよね……』





君のベッドの横に座った


個室なのか


真っ白な世界に二人きりだ





「いや、俺こそ待たせちまって…わりぃ」





ポリポリと頭を掻きながら、ブン太は目線を下げた




また沈黙か…と、思った矢先、君が明るく笑いだした




『ふふっ、ブン太くん、あたしの名前、知っちゃったね』




その笑顔は、初めて会った時と同じで…




どくん、と心臓が跳ねた






「あ、ごめん…」





なんで俺が謝ってんだ?
何故か分からないけど、謝ってしまった





『本当だよ…』






「え?」





君の声が急に弱々しくなったから、俺は焦った





「どっか具合悪いの…か?」




立ち上がり、近寄ると、君は俺の制服の裾を握り締めた






『ブン太くんだけ…ズルい。私だって…ブン太くんの事…知りたい』





それはいつもの君からは想像も出来ない程弱々しくて、俺は無意識に抱き締めていた






「明菜ちゃん…大丈夫だよ。俺が全部教えるから」





今の俺なら笑うかもしれないな


明菜を“ちゃん”付けで呼んだこと



でも俺にはこれが精一杯だった



だって俺も泣きそうだったから






『ありが、と…』





「ん、俺にも教えろよ?」





『うんっ!』








やっぱり期待してみよう



君の気持ちに




そして俺の気持ちにも




でもまだ言えない




それは、お互いをもっと知ってからだ




ゆっくり、ね





今度の約束は


いつもより早い


雨の日じゃない


晴れたって、雨が降ったって、嵐が巻き起こったって


君に会えるのは





明日。










あきゅろす。
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