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飴玉注意報
待てども待てども










「暇だぜぃ…」





君と嬉しい再会を果たして1週間




この1週間は陽射しが強い



体にへばりつく制服が鬱陶しい






「あっちぃ…」






パタパタと下敷きで扇ぐ



ブン太の隣にある窓には、逆さまにされた、てるてる坊主が吊るしてあった








「ブン太…一日中ずっと外眺めて、楽しいんか?」







「おー。」






気だるい仁王の問いに
気だるく答えるブン太





会おう、なんて言われた時に限って雨なんか降らねぇんだよな…




ブン太はガサガサと机の中をあさり、ティッシュペーパーとセロハンテープとマジックインキを取り出した







「また作ってるんですか?」






呆れたように、柳生もやってきた


少しずれた眼鏡を元に戻しながら






「うるせぇな。俺だって天才じゃねぇ時だってあるんだよぃ!」







ぐりぐりと、てるてる坊主の目玉を書きながら、ブン太は言った




周りは目を見開く





「なぁ…今のを赤也が聞いちょったら大笑いじゃよな」





「そうですね、」






まぁ、微笑ましいですが。と柳生は付けたし、笑いながら教室から出ていった






てるてる坊主は既にブン太によって16個も出来てしまった




全ては彼女に会いたいが故






「なぁ、仁王。」






作業をしながら、ブン太が仁王へと語り出した







「俺、初めてなんだ。好きな人ってのが出来んの。ずっとお菓子が恋人だった」





真面目な顔をして言うもんだから、仁王は少し苦笑いをした







17個目が完成した








「めっちゃ、好き」







顔を赤くしたブン太



仁王は微笑むと、ブン太の頭をクシャクシャと撫でた






「お前さんなら大丈夫じゃよ。」







「おう。」







ブン太は鞄からラッピングされた小さな箱を取り出した







「早く、渡してぇ」







平凡な中学生男子が買った


お金持ちのお嬢様へのお返し



高級なわけじゃない



ブランドなんかでもない




俺は俺らしく






「喜ぶ、かな」






「喜ぶぜよ」






全国共通、女の子が喜ぶモノ




やっぱりチョコレート






ただ、見栄をはって少しだけ高いチョコレートにしたのは内緒



こういうことは言ったら
価値が下がるから







「あめあめふれふれ」





空に願い事






早く君に会えますように



次こそは名前を聞いてみせるから




その時まで





俺の鞄には雨が降るまで毎日、君へのチョコレートが入っているだろう











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