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飴玉注意報
あまいあまい味







やっぱりあの雨の日

彼女は信号機の前にいた




「よ、よぉ。また会っちまったな!」




驚いたのか君は
振り返るなり、目を見開いたが、すぐに笑った







『ホント、偶然だね!!』





「偶然だぜぃ!」





一緒に居た仁王は、いつの間にか居なくなってて


どうせそこら辺で、話を聞いているのだろうけど





『よく…ココにくるの?』





「ん、と…時々、かな」






『へぇ…私は雨の日だけ』





「へ!?」





『え?』





「あ、いや…」





我ながら間抜けな声を発してしまった事に少しショックをうけた




まぁ、でもそれ以上に君に声をかけた事に緊張したんだけどさ。平静を装ったけどめちゃくちゃ怖ぇ






『ふふっブン太くんて、おもしろいね』





やっぱり、口元に手を寄せ、笑う君は綺麗だった















ぐぅ〜


















「……」








『……』











彼女が笑うのを見て、ぼーっとしていたら、お腹がなった










「あ、えっと、…その」






俺が言い訳をしようと、言葉を探していると







『ぷ、あはは!!ブン太くん…お腹、減ったの?』







先程までとは、うってかわり、彼女はお腹を押さえて笑だした







「な、仕方ねぇだろぃ!」





彼女が笑う事が、嬉しかったが、今は恥ずかしい気持ちが上回った








『くくっ、ブン太くん可笑しい……』







一気に距離が縮まった気がした。だって二人でいるし、笑ってるし



俺、初恋実るんじゃねぇか?







「あ、あのさっ名前…」







『ちょっと待って!』







「?」






俺が一番聞きたかった事を口に出そうとすると、君は、いきなり鞄の中をあさり始めたよね








『ハイ!あげる!』






「あ、いいの?」






『うんっ!』





君が俺に渡した物は、俺の手のひらでコロンと少し動いた






「サンキュー」





君の前ではかっこいい俺でありたくて、もらった小さな物をすぐにポケットへ入れた








『あ、そろそろ帰らなくちゃ』







そういって君は立ち上がり、俺の方を見た








『じゃあね、ブン太くん』







スカートを翻し、君は、立ち去ろうとした




咄嗟に俺も立ち上がった、君にまだ居て欲しくて







「あの、」







『?』







呼び止めてしまった







「えっ、っと…あ!傘!傘返さなくちゃ!」







自分でもわかる。鼓動。君にドキドキが伝わるのが怖くて、すぐに鞄の中をあさった







『あ、いいよ。また今度で』







「え?」






また、?また、会えるのか?






『ふふ、また雨の日ね。ブン太くん』








「お、おう!」






ぱしゃぱしゃと水溜まりを上手く避けながら走って行く君を、また、俺は見つめてた



バカみたいにずっと手を振りながら







「何、もらったんじゃ?」




仁王がブン太を覗き込んだ






「ブンちゃ…」






「……仁王」







「…なんじゃ?」






いきなりソコに現れた仁王に驚きもせずに、ブン太は、振り続けていた手をポケットに入れ、もらった物を取り出した








「やべぇ。…甘ぇよ、初恋。」








握り締められた手が開かれた時、中から顔を出したのは










いちごみるくの飴玉









「確かに、甘いのかも知れんのぅ」









ブン太は、小さな飴玉と赤い傘を握り締め、願った










「早く、雨、降らねぇかな」








次に会うときは
また、雨の日。













あきゅろす。
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