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飴玉注意報
天気は雨で







ピッポ




ピッポ





隣の信号は青


信号の呑気な音が耳障りだ




ピッポ





ピッポ






「なんなんだよぃ…」






やたらと長い信号にイライラする






ザァーッという雨の音




傘を持っていなかった俺は
ずぶ濡れだ




助かったのは
学校帰りだったため
学生カバンを持っていたこと





赤毛が雨で少し濡れていた





緑色のガムをクチャクチャと噛み、時たま、膨らます





立海大附属中
丸井ブン太






彼は頭にカバンをかざし、雨を避けていた







「ついてないぜ…」





片手を制服のズボンのポケットに入れ、信号が青になるのを傘も持たずに待っていた







「あ〜!!ぜってぇ仁王が引き止めた所為だ!!」






雨が強くなるにつれ、ブン太の目線は下がった







スッ、とブン太の目の前が
赤に染められた







「………」






『あ、あの…コレ』






ちらりと目線を上げれば、ブン太より少し背の低い少女が傘を差し出していた






「気にしなくても…」





そう、断ろうとしたが






『丸井ブン太くんでしょ?立海大附属中の。』





彼女が笑顔をむけてきたから、何も言えなかった





が、





「あんた…ファン?」





冷静さを取り戻したブン太は、彼女が気を引くために、自分をつけてきたファンかと思い、冷たくあしらった







『残念。立海に知り合いが居るから知ってるだけ』





ふふっと笑う彼女は、どこか上品だった






『じゃあ、傘、使って?』






「ちょ、オイ!」







少女は、ぐいっとブン太に傘を渡し、走っていってしまった











信号は、すでに青




しかしブン太は
歩かなかった




赤い傘を片手に
彼女が走っていった方を
ただ、ひたすら見つめた











あきゅろす。
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