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また会いたくて
COUNT:2












『助けてよぉ…』




((落ち着き、桜))




『だって…』





侑士の声が心地いい



不安が消えていくようだ





((何があったん?))




景吾が寝たのをもう一度確認し、口を動かした





『あと…1日なんだ、こっちに居れるの』





((うん、わかっとるで))





ゆっくり、優しく聞いてくれる侑士


貴方ともお別れなんだね





『私…消えたくない』




ぽつりと桜は、話しはじめた





((………))




侑士は何も言ってこない



ああ、もう無理だ




『私消えたくない!!ずっと…ずっと景吾や皆と居たいの!居たかったの!』




桜は、白いシーツを握り締める





『本当はっ、本当は!景吾に変わってほしくないとか、ただの口実で…景吾が居ない世界に耐えられなくなったの!』




携帯を握る手が震える

怖い、怖い!




『侑士っ!怖い!怖いんだよ!景吾の中から、皆の中から私が消えちゃうのが!』




涙がシーツにしみ込む


景吾に抱かれた身体が熱い





『ふっく、うぇ…』





((……んなことあらへん))





『え?』





侑士がいきなり話しだしたから、私は黙った





((俺等の中から、桜が消えるなんてありえへん。))





『ゆ、し…』





((もちろん跡部ん中からもや))






『〜っ侑士!』





((ほんま泣き虫さんやなぁ、桜は))






『だって…』






貴方が優しいから…






「ん、桜?」





『っ!侑士!またね!』






((ああ、また絶対やで))






『……うんっ!』






また絶対




サヨナラ侑士




絶対だよ?待ってるから




景吾を守ってね…?





プッ

ツーツーツー




携帯から聞こえる音がやけに悲しかった





「忍足か?」




『うん…』





「ったく、心配させやがって」





『ふふっごめんね?』






跡部は桜を引き寄せて唇にキスをした





『景吾…』





「寝ろ」





『っ大丈夫だよ?』





景吾、寝てたらダメなの



寝てたら、貴方との時間が無くなってしまう。






「いいからっ」





『い、嫌ぁ!』





「桜…何で言わなかったんだよ…」





ああ、聞こえてたんだね




聞いちゃったんだ




侑士との会話





『っ景吾!』





「っ…」




また白いシーツに涙がしみ込む



景吾の胸に体を預け、私は無意識に寝ていた




ただ、景吾の涙が私の頬に落ちてきたのには気付いた





悲しいね、景吾




悲しい




出てきて…ごめんね?




身勝手な私を許して…




最期の夜、私達は




目蓋を瞑って



でも決して眠る事はなく



いつもより短く感じられる時を過ごした



景吾の熱を身に纏いながら




この温もりが無くなると考えたらまた涙が出た…











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