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また会いたくて
COUNT:8








『今日からまた、氷帝に通う事になりました。桜です。よろしくお願いします!』



私は今日、また氷帝学園の生徒になった



「えっと、じゃあ席は窓際の一番後ろね」



『はい』



昔と同じ席



「…桜」



前には景吾



『よろしく、景吾』



なんだか本当にドキドキしてる



「桜!俺もおるで?忘れんといてや〜」



「お前は黙ってろ!」



横には侑士


全てがあの頃と同じ



『ふふっ、また仲良くしてね!』



「当たり前や!」



侑士には、きっとお世話になるから。いつも頼ってごめんね?




周りからの視線が怖いな

当たり前か、死んだはずの人間がいるんだもんね。誰だってびっくりするはずよ。

でも生きてた事にしたって、誰も疑わない

死んだ証拠なんか無いもの

誰もお葬式なんか呼んでない

私を殺した人達を、
景吾が呼ぶ事を許すはずがない





『景吾…』



後ろの席から、ずっと眺めてた髪

大きな背中

なにもかもが同じで

昔に戻ったみたいだ





「桜!後で話、ええか?」



『うん、大丈夫だよ』



「ほな、後で」



侑士は気付いてるな

多分。

私の遺体が運ばれたのが侑士の病院だったし





『難しいな…』




その日、私は授業なんか聞かなかった。どうせ10日しか居ないんだ。景吾を見ているほうが幸せ。





























「で?なんでおるん?」



直球だな…



侑士は、体育館裏に私を呼び出した



『怖くないの?私が。死んだはずの人間なのに』




「桜やし。怖くはあらへん。せやけど、何でここにおるんか気になっただけや」




やっぱり侑士は鋭い

私が苛められてるのも侑士がすぐに気付いてくれた




『侑士…私が居なくなってから、景吾は変わったでしょう?』




「……せやな」



やっぱり




『何事にも集中しなくなった。それに、大好きだったはずの…』



「テニスまで…や。」



景吾は本当に何に対しても興味を示さなくなった




『不安だったの。景吾が変わっていくのが。私の所為だって、何度も泣いた。死んだ事に後悔してるんじゃないの…ただ…景吾が…』



泣き出した私の頭を侑士は撫でた




「さよか…桜…ありがとう」



『え?』



反射的に桜は、顔をあげた




「跡部を…救ったってな」




力なく笑う侑士


きっと侑士も怖かったんだ

景吾が変わっていくのが




『うん!』



私だけじゃないんだよ、景吾



貴方を思ってくれている人は





「さ、俺は部活行かなあかんから、ほなな、桜」





『あ、待って!』




咄嗟に、侑士の制服の裾を握り締めた




「ん?何なん?」




『あの、ね…』



侑士が振り返って、私を見た





『私、実は…』





この時言ったのは紛れもなく本当の言葉






「わかった」




『その時が来たら…ね』





手をヒラヒラと振りながら、侑士は行ってしまった






『ふっ、く…』





口に出せば辛い




“残りは8日”






『ごめんねっ…』





みんな、ごめん。















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