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また会いたくて
COUNT:9









氷帝学園の桜の木の下は跡部景吾の特等席




誰も来ない





俺は、いつものように腰をかけ、空を見上げた






「なぁ、桜…お前、今、笑ってんのか?」






届かない想いを空へ投げ掛ける



何度やっても答えは同じ




もう、帰っては来ない






「ったく、一人にしやがって」





フッと目線を下げると、カサリと音がした






「誰だ、俺様は、い、ま…」





睨み付けてやろうと、ドスの効いた声で言いながら顔を上げた






『ただいま。景吾』






「桜…?」





瞬き1つ出来なかった



愛しい君が居たから



触れたくて触れたくて



たまらなかった君が







『ぷ、景吾間抜け面!!』




目尻にシワを寄せて、片目を閉じて笑う仕草は君そのもので




俺は、無意識に抱き締めていた







「な、んで…」





声が震える


どうしていいか分からないから






『会いに…来ちゃった』





きゅ、と桜は、跡部を抱き締め返した







「…………ばか」






『ごめんなさい』






俺は今、泣いてると思う




俺の所為で命を落とした君に



笑ってもう一度抱き締めて貰えたから




なんで居るのか



とか




お化けになったのか




とか





そんなこと、どうだっていい





とにかく俺は






桜が愛しくて





愛しくて愛しくて





たまらなかった









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