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SHORT
less voice












『いや、だぁ!雅治!!』

「誰の所為じゃと思うとるんか?。」


じたばたと暴れてもびくともしない。これも彼が男だと言うことを認識させられる。


『っくぁ、痛い……!!』


ギリギリと手首を握られる事で激痛がはしり、顔を歪ませる。

ああ、これは雅治を喜ばせることにしかならないのに。


「ふっ、手首握られただけで感じとるんか?変態、じゃね。」

『……!!違う、よ。』


目を細めて笑う雅治に向けて、精一杯の憎しみを込めて睨んでやった。

だけど雅治の唇は、弧を描いた。


「今のうち、じゃよ。」

『や、ごめっ、雅治!!』


反抗すると両腕を雅治によって押さえ付けられた。

胸元にちくりと痛みがはしる。


『や、ぁあ……、』


ほんのりと赤が咲く。

雅治は軽く笑い、赤く咲いた花へと優しくキスを落とした。



「あーあ、せっかくのお仕置きじゃけぇ、もう少し楽しみたかったのう。」

『ごめんなさい!私が悪いの!雅治に口答えなんかしてごめんなさい!』


これから起こるであろう痛みを思うと自然と涙が出た。


「くっ、傑作じゃのぅ……。」

『い、ぁあああっ!!』


剥がれた爪が痛い。

裂かれた腕が痛い。

噛み付かれた首筋が痛い。

ううん、そんな事より……。


「ほら、綾、俺の為に笑えるじゃろ?」

『あ、う……、』


私が小さく口角を上げると、雅治は嬉しいそうに笑った。


「大好きじゃ、綾。」


貴方を壊してしまった罪悪感。

壊れてしまった貴方の心は、もっともっと痛いのでしょう?

無邪気に笑う雅治に、私の声は届かない。









less voice
(私の声は、もう貴方に届く事は無いのでしょう。)


2010/12/04
仁王雅治誕生日記念


あきゅろす。
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