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SHORT
悪い子にはサンタは来ないって





「な?だから言うたやろ?」

『…うん。』

「さ、帰ろか。」


今日はクリスマス。

思い切って蔵をデートに誘ったら、驚く事にOKしてくれて、只今遊園地に来ている。

でもアトラクションは動いていない。

朝から雨が酷いのだ。


『なんで雨なんかでアトラクション動けへんの。』

「俺が知るわけないやろ。」

『もう…。』


本当は今日、蔵に告白するつもりやった。

ずっと一緒に育ってきて、ずっと守ってきてくれた。

そんな格好良くてスーパーマンみたいな幼なじみの蔵が大好きやった。


「ほーら、帰るで?」

『あー、うん。』


言いたい。

でもこれはズルいんや。

蔵の彼女さんに内緒で、

蔵の彼女さんが知らんとこで、

長年に渡って積もった愛を蔵に伝える。

ダメやって思ってても、幼なじみっちゅう特権を利用しようとしてまう。


『あんな、蔵。』

「んー?」


静かな帰り道で、私は勇気を出した。

蔵に気付かれないように、

蔵が困らないように。


『アタシな、蔵んこと…、』

「綾、あかんよ。」

『っ…。』


なんで?

アタシは蔵が一番好きやのに。

伝える事すらあかんの?


「絶対あかん。」


蔵は真剣な顔でアタシを見た。


『な、んで?アタシ…、』

涙なんか流すアタシは、蔵にとったらウザいん?


「お前が今俺にソレ言うたら、理性保たれへん。それに、お前が悪者になるんは嫌や。」

『く、らぁ…っ!』


なんでかな?

なんで蔵は、そんな優しいん?

でも、そんな言葉じゃ我慢出来ひん。


『蔵、淋しいよぉ!』

「アホ、俺もや。」

『一緒に居って!ずっと、ずっとっ、』

「っ…堪忍な…。」

『ふっ、うぇ…、』


蔵の一番は彼女さん。

知っとった。

抑えられへんかったアタシの負けや。

少しだけでも私への気持ちがあるんやないかって勘違いして、ズルい選択をした。

何してしまったんやろ。

もう幼なじみじゃ、居られへんくなってしもた。

バカなアタシ。









悪い子にはサンタは来ないって
(こんな私に来る筈がない。)


2009/12/24
クリスマス記念夢

これ、いつか連載にしたいなぁ…。書いていて切なかったです。


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