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SHORT
サンタクロースになれば(一氏ユウジ)





「だーかーらっ!小春に会いに行く言うとんねん!」


俺の妹の綾は高校生にもなるっちゅうんに兄離れ出来てへん。


『なんで!?なんで小春先輩に会いに行かなあかんの!?』


ぐいぐいと俺のマフラーを引っ張る綾に半ばイライラしながら俺は玄関の扉を開けた。


「だーっ!うっさいわアホ!お前こそ会いに行く奴くらいおらんのか!」

『おらへんわ!お兄のバカ!茄子!』

「な、茄子!?」


なんでこないに育ったんか、俺に似たら素直になったやろーに。

俺は別に小春が好きっちゅうわけやない。

普通に彼女くらいおんねん。

ただ、

無理矢理好きになった子やから、会いたくないだけで。


『嫌や、サンタ来ぇへんもん。』

「……あーもう。」


俺はコイツが好きやから、せやから近くにおったら何しでかすかわかったもんやない。


俺はグイッと玄関の扉を閉めて、綾の腕を引いた。


『お、にぃ?』

「仕方ない。ケーキ、買いに行こか。」

『っ!うん!』


大好きな女に泣かれたら、男は弱いねんな。


「ほら、マフラー巻かんと、風邪引くで?」

『はーい。』


もう笑うてるし。

ずる賢いやっちゃ。

いつかは嫁に行ってまうって事はわかってんねやけど、

でも、


「さ、行こか。」

『お兄〜!』


この小さな手の平を離す気なんか、あらへんかった。





サンタクロースになれば
(“もっと”は、お預け。)


2009/12/24

ユウジは優しいです。
絶対!


あきゅろす。
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