SHORT
可愛いトナカイさん
「やーっ!アカン!可愛いっ!」
『もうっ!蔵!恥ずかしいやろ!』
学校で行われたクリスマスパーティー。
体育館のステージでクリスマスの劇をしている綾達のクラスに向かって白石は、きゃーきゃーと手を振っている。
「だって可愛えんやもーんっ!」
ギコギコとパイプ椅子を軋ませ、白石はビデオカメラをまわしていた。
白石の隣に座る忍足謙也は呆れた顔で、間抜け面の白石を見ていた。
「ほら、白石座らへんと、二年生びびってんで。」
謙也に言われて白石も、しぶしぶ腰を下ろしたようだ。
『はぁ、ほんま…、恥ずかしいやっちゃ。』
「お前も言えたもんやないで。」
頭を抱えてうなだれれる綾を隣で同じクラスの財前が見下ろしてきた。
『光に言われたない。』
ばっと顔を上げ、財前を睨む綾。
「どーせ、木やし。」
両手を上げ、手の平に葉を付けている。
なんとも間抜けな格好だ。
『はぁ、ええよ。アタシもトナカイやし。』
我ながら泣ける。
こないな聖夜に何が悲しくて茶色の布纏って、赤鼻付けて笑うてんのや。
『蔵みてるし…。』
しかも彼氏の前。
一生言われ続けんねや。
「せやけど言うとったで?」
『あ?』
サンタ役の子がアタシに乗ろうとした時、隣の木…やなかった光が話しだした。
この光の言葉が余りにも恥ずかしくてアタシは劇の最中ずっと赤面しとった。
悔しいけど嬉しくて、劇が終わったらすぐに蔵んとこに走ったんや。
「綾〜!ようやったな!」
『未来の大女優やからな。』
「可愛え。」
『ありがとう。』
蔵やって格好良えで?
自慢の彼氏なんや。
『今日は蔵ん家にお泊りやな!』
「?ええけど。」
今日の夜はクリスマスパーティーや!
可愛いトナカイさん
(トナカイ襲いたい俺っておかしいんかな。)
2009/12/24
なんでしょう、トナカイが相手だとどうなるんでしょうね?笑
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