SHORT ケーキ食べたいな 「おら、パーティーだと言っておいたただろうが。」 『うーん?』 あれ、なんだろ。 朝起きたら目の前に景吾の顔があった。 なんで? 徐々に覚醒した綾は、何を勘違いしたのか 『きゃっ!変態!』 「ぐへっ!」 バチーンという音が跡部邸に響いた。 ********* 「で?説明してもらおうか。」 『だ、だって…。』 あれ、今日ってクリスマスだったっけ。 時間が狂ってるようだ。 だいたい何で私が景吾の家にいるのかすらわかんないや。 考えれば考える程わからなくなる。 『ごめん、今日って約束してた?』 「……もういい。」 景吾は私の言葉を聞いて、一瞬悲しそうな目をしたけれど、すぐに不機嫌極まりない顔になって私を睨んだ。 『だ、だって思い出せないんだもん!』 「あーそうかよ。」 『ちょっと!人が真剣に…』 ガンッ 景吾が机を蹴り、私の肩を掴んだ。 『ちょ…何よ…。』 見上げると景吾は溜め息を吐いて私を見下ろした。 「お前が去年言ったんだろ?」 『え?』 「美味しいケーキが食べたい、って。」 『あ…、』 思い出した。 去年、景吾に作ったケーキが失敗したから来年は景吾が準備しとくって…。 『で、でもパーティーって。』 パーティーなんて言われたら思い出せるものも思いだせないじゃないか。 「賑やかな方がいいだろ?」 『う、うん。』 だいたいパーティーなんて柄じゃないし、跡部邸のパーティーなんて規模が大き過ぎてどうしていいかわからない。 でも、 怒っていた景吾が満足気に笑うのを見ちゃったら、 二人きりがいい。なんて 口が裂けても言えなかった。 ケーキ食べたいな (君との約束は必ず守るよ。) 2009/12/24 クリスマス記念夢 |