SHORT
もう一度触れたい
「綾!!」
仁王はベッドから飛び起きた。
「……夢、か。」
君が去っていって1週間。
俺は気が狂ったように泣き叫び、しまいには命を断つことすら考えた。
「お前さんがいない世界なんか、ちっとも面白うない。」
俺に別れを告げて、この部屋を出ていった君。
「まだ、ダメじゃ。」
君との思い出と君の面影が残るこの部屋にいると自然に涙があふれ出る。
「綾…っ!」
笑いながら入った風呂。
喧嘩をして仲直りをしたソファー。
君が頑張ったキッチン。
俺が頑張った書斎。
一緒に寝ていたベッド。
何もかもが当たり前で忘れかけていた幸せ。
「こんなんじゃから、振られるんじゃよ、俺。」
一緒に寝ていたベッドが、やけに虚しい。
白いシーツが涙に濡れる。
もう一度触れたい
(引っ越すのはやめにしよう。)
2009/12/04
誕生日記念夢
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