SHORT
テディベア
「ほら、綾にやるき。」
がさがさと無造作に袋から彼女へのプレゼントを取り出した。
『わっ!くまだ〜!』
きゃっきゃっと袋から出てきたテディベアを両手で持ち、胸元で抱き締める君。
「そんなに嬉しいもんか?」
何人もいる中の一人。
それが綾だった。
別にこいつに限らず、俺に寄ってくる女は全てが同じに見えていた。
でも違ったんじゃ。
それに気付くのが遅過ぎた。
『雅治からもらった初めてのモノだし、女の子はぬいぐるみ大好きなんだよ!』
「ほう、」
そういって笑う綾の笑顔はどうやっても忘れられん。
胸に焼き付く、とはこんな事を言うんじゃろうか。
『ありがとう、雅治!』
あの時、俺が抱き締めてやれば良かったのか?
好きだ、の一言でも言えば良かったのか?
出来るわけなか。
沢山いる女の中の1人に過ぎないと思いながら、俺の隣に座っちょった綾に甘い言葉を囁くなんて。
「は、……もう遅いぜよ」
冬になると思い出す
『雅治、好きだよ』
と、本気の愛で俺を暖めてくれていた彼女を。
「恋、かもしれんのう…」
俺の初恋だった気がする。
テディベア
(今も彼女の隣で笑っているか?)
2009/12/04
仁王誕生日記念夢
恋音の贔屓で書かせていただきました!本当におめでとう!
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