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SHORT
いつもとなんら変わりのない仮装(柳生比呂士)







キーンコーンカーンコーン


授業終了の合図と共に部活に行く者、帰る者、沢山の生徒がバタバタと働きだす。


今日は、教室に一つの空席があった。

仁王くんの席。


もう少しでテストという事もありテニス部は休みで、私は放課後に残って勉強しようと思っていた。



「……そろそろですね。」


この時間、必ずやってくる人物がいる。



ガラガラッと教室のドアが開き、女の子が入ってきた。



『雅治!帰ろー!』



身長が低く、綺麗か可愛いかと聞かれれば可愛いに属する彼女は仁王くんの恋人。



「今日は一段と可愛いのぅ?」



『雅治のためだもん///』


頬を赤く染めて笑う貴女。


どうしてその笑顔が私のものじゃないのでしょう。


どうしてその瞳に私は映らないのでしょう。


ずっと愛していたのに


仁王くんよりも前から。



「…綾、愛しとうよ。」



『私も…。』



こんな形でしか伝えられないけれど、私は愛していますよ。


綾さん。


いつか必ず私の元へといらして下さいね。


今は、これだけで我慢するとしましょう。


私は放課後の涼しげな風に銀髪が揺れるのを視界に入れながら、彼女にキスをした。


――仁王雅治として。












いつもとなんら変わりのない仮装
(本当の私で愛していると伝えたい。)


2009/10/31
ハロウィン記念


あきゅろす。
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