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SHORT
魔法をかけてよ








今日はハロウィン。

オレンジと黒の世界。

俺等は謙也さんの家でハロウィンパーティーや。



「あーっ!金太郎はんっあかんてっ!食べ物ちゃうでっ!」


「えっ?ホンマ?食べてしもうたー!」


ガヤガヤと盛大に行われている。

男だけやと何や気ぃ乗らへんけど、今日は女もおんねん。


『金ちゃん!私のもあげるわー!』


「ええのん?おおきに!」


女子テニス部2年、柿本綾。

俺と同じクラスで斜め前の席。

そして男子テニス部1年スーパールーキー遠山金太郎の恋人や。


『金ちゃん!今日なっ、お菓子作ってきてん!』


「ホンマー!?」


俺はそんな会話をしながら微笑む二人を横目にベランダへと出た。


夜風が気持ちええ。



「コラ。何やっとんねん。」


パコンと頭を後ろから叩かれた。


「謙也さん…。」


俺は頭を擦りながら、隣に並んでジュースを飲んでいる謙也さんを見た。


「辛いんやろ?」


「……はい。」


何がって、ここが。


「好きなんすわ、まだ。」


綾は俺の恋人やった。

あの時の俺は何もかもが綾で動いとった。

それは今も同じで…。



「笑えますわ、ホンマ。」


俺は自嘲しながら、笑った。


「年も俺と綾は同じやし、一緒に居る時間やって長いはずやのに。」


濡れた頬が冷たい。


「なんであかんかったんやろ。」


謙也さんは黙って俺の頭をポンポンと何度も優しく叩いてくれた。


「痛いっすわ。」


「我慢しぃや。」













魔法をかけてよ
(僕にもう一度君をください。)


2009/10/31
ハロウィン記念


あきゅろす。
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