SHORT
お菓子詰め合わせ要求(丸井ブン太)
『はぁ!?』
ここは立海大附属中学の家庭科調理室。
そして私は、家庭科調理部の部長。
「だーかーらっ!詰め合わせ!」
『無理。』
こいつは、今の彼氏。
男子テニス部の丸井ブン太。
「なんでだよー!」
なんか私…、駄々をこねるブン太にイライラしてきた。
『っ誰の所為でこんなに大量のお菓子作ってると思ってるのよ!バカ!』
いきなり私が怒鳴ると、ブン太は絵に書いたように目を丸くして私を見ていた。
「綾……?」
『大体ねぇっ!ブン太が男子テニス部に“俺が菓子作ってくれる奴、紹介するぜぃ!”とか勝手に言ったから、その作ってくれる奴が今こうやってハロウィン当日に大量のお菓子を作ってるの!わかる!?』
ゼイゼイと肩で息をしながら、綾が一気にまくしたてた。
「ご、ごめん…。」
ブン太のいつものガムが、萎れていた。
『……わかったならいいわよ。』
私はまた、ケーキにデコレーションし始めた。
「俺も手伝う。」
『……ん。』
それ以上、私は何も言わなかった。
だってブン太は、人が喜ぶ姿が好きだから。
だから、いつも出来もしないのに頑張ろうとする。
まぁ、こんなブン太が好きなんだけど。
「綾?」
ふっと我に返ると、私は無意識にブン太を見ていたらしい。
『…ねぇ、ブン太。』
「なんだよぃ?」
今日は私のお願い聞いて?
ブン太が真っ赤になったのは見なかった事にしてあげる。
お菓子詰め合わせ要求
(詰め合わせじゃ足りないの。私はブン太の全部が欲しい。)
2009/10/31
ハロウィン記念
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