SHORT
吸血鬼だから噛み付いてもいい?(幸村精市)
今宵、君を食らいたい。
「ねぇ?綾。」
『精市?』
俺の腕の中にすっぽりとおさまる君を何度食らいたいと思っただろう。
「今日は随分と無防備だね?」
意地悪したくなるくらい。
『今日はハロウィンだし、精市の言う事は何でも聞いてあげるよ?』
ほら、そうやって君は俺の理性を崩そうとするんだ。
俺が必死な事を知っているくせに。
「…意地悪だね?」
『ふふっ、ありがとう。』
愛してる、なんて、それだけじゃダメだ。
もっと深く奥まで。
君を感じたい。
君が欲しい。
「綾…。」
『今度は、なぁに?』
今日だけは許して。
「 」
あの時、君は嬉しそうに笑ったね。
汚れた俺には、眩し過ぎるくらいに。
“君を食らいたい”
吸血鬼という種族の俺を愛した君が悪いんだ。
だから噛み付かれちゃったんだよ。
だから食べられちゃうんだ。
そう、俺はそうやって罪と愛を重ね続ける。
吸血鬼だから噛み付いてもいい?
(きっと、君の味だけは忘れられないだろう。)
2009/10/31
ハロウィン記念
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