SHORT お菓子もいいけど君が欲しいな(不二周助) 『ハッピーハロウィン!周助!』 パパンッとクラッカーの音が男子テニス部の部室に鳴り響いた 「わ、びっくりした…」 状況を飲み込み、理解する間に、僕の手の平には沢山のお菓子があった。 また僕が驚いていると、綾と越前が、こちらに向って大きな籠を持って歩いてきた。 「不二先輩!」 『周助!トリックオアトリート!』 「なっ!」 何を言ってるんだ綾は! 今すぐトリックで。と言いたくなった自分が恥ずかしい。 『周助も私に言ってよ!』 ね?と、首を傾げる君に、バカと言ってやりたかったけれど、寸前で抑えて代わりに部室の外に連れ出した。 出ていく時に、乾や英二が笑っているのがわかったけど、構っている暇なんか無いっ! どうせ、乾達の事だ。 俺の意外な一面を見た!とか言ってわけのわからない確率を出すだけ。 あ、英二にはからかわれそうだな…。 「困ったな…」 『周助?』 自嘲していると、綾が僕の顔を覗き込んできた。 ああ、僕はこんなにも君を愛してしまったようだね。 「綾……」 『なぁに?』 今日だけは、僕の素顔を見せてもいいかい? お菓子もいいけど君が欲しい (甘く、とろける程の愛を君に) 2009/10/31 ハロウィン記念 |