[携帯モード] [URL送信]

SHORT
私は魔女っ子(芥川慈郎)







『ジロー…私ね、』



「なになに〜?」



今夜、私は貴方に勝負を挑みます!


私は、ずっとジローが好きでずっと好意を示し続けてる。

でも、何をやっても効果が無い。

こんな鈍感な彼には何を仕掛けたらいいの?

そうよ!鈍感さを利用するのよ!



『実は…私、魔女なのっ!』



「えええぇ!?」



と言うように、私はハロウィンをネタに、ジローを振り向かせようと作戦を練っていました。



『驚かせちゃってゴメンね…?』



「いや、びっくりしたC〜!」



本当に驚いているようで、ジローは目をぱちくりさせていた。



『いきなりゴメンね?』



「でも、マジマジすっげーっ!綾って魔女なんだー!いいなーっ!」



ぴょんぴょんと、岳人のように跳ね回るジローを見て、少しだけ罪悪感が私を襲ったけど、あと一押し!



『それでね、今日はハロウィンじゃない?』



「綾はお菓子が欲しいの?」



そういうと、ジローは制服のポケットをごそごそと漁った



『違うの!そうじゃなくて…、実は私、ハロウィンになると月へ帰らなくちゃいけないのっ!』



どこかで聞いた事のあるようなセリフと共に私は、ぎゅっと目を瞑って、ジローの腕を掴んだ。



『(……どうだっ!)』



ぴくりとも動かなくなったジローに少しだけ不安になり、おそるおそる目を開け、ジローを見上げた。



「や、だよ。」



『え…。』



ジローがセーターの裾で、自らの涙を拭っていた。



「綾が居なくなるなんて嫌だC〜!」



うわーんと泣き出したジローにどうすることもできず、私は無意識にジローに抱き付いていた。



『ごめんっ!ジロー!嘘だよっ!許して!』



「えぇ〜?」



泣くのをやめて、ジローは私を見た。



『ごめんね?ジローがあんまりにも私の気持ちに気付いてくれないから、意地悪しちゃった。』



「じゃあ綾は月に帰らなくてもいいの?」



『う、うん!』



大きく私が頷くと、ジローはパァッと顔を明るくさせた。



「綾大好き!」



ぎゅっと抱き付いてきたジローに、少しだけ恥ずかしい気持ちがあったけれど、これでいいのかも。



『私も!』



焦らずに、ゆっくりと。




翌日、侑士達に「綾、魔女やったん?」なんて言われたのは、忘れる事にしよう。








私は魔女っ子
(貴方の気持ちを動かすまで)


2009/10/31
ハロウィン記念


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!