SHORT
今日も意地悪だね
『ねぇ、雅治〜?』
「なんじゃ?」
大好きな彼の銀髪が、秋の夜風に揺れた。
思わず触れたくなって、手をのばす。
『ねぇ、雅治ってば。』
「だからなんじゃ?」
口元を少し綻ばせて、私を見る貴方。
大好きな貴方に触れようと手をのばす私は、周りから見れば、さぞ滑稽だろう。
『雅治…。』
貴方が居なくなって1年。
まだ忘れられそうにありません。
去年のハロウィンの日、笑いながらお菓子を沢山持ってやってきた貴方。
“今日は一緒に居てやれんから”
そう言って私に、甘すぎる言葉と甘すぎるお菓子を渡し、最期のキスをくれた貴方。
『雅治…淋しいよ。淋しい!』
貴方がいない世界は、私を闇へと突き落とす。
何もかもがモノクロで、どこへ行けばいいかわからない。
「綾……。」
貴方の温もりが、また、夢に消えて行く。
今日も意地悪だね
(ハロウィンは、甘すぎる。)
2009/10/31
ハロウィン記念
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!