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SHORT
キャンディ1つくださいな(鳳長太郎)








「先輩!トリックオアトリート!」



今日は待ちに待ったハロウィン!

愛しの彼女、綾先輩にお菓子を作ってもらう約束をしていました!



『あっ!ちょた〜。』



てけてけっと、三年の教室から俺がいる廊下まで出てきた先輩。

俺よりとても小さくて、本当に小動物みたい。

先輩を溺愛し過ぎて、宍戸さんに怒られた時もあったな〜。



「先輩っ!約束のお菓子を貰いにきましたっ!」



『あ、うんっ!パンプキンプリンなんだけど…ちょた食べられる?』



「はい!大丈夫です!」



貴女が作ったものなら泥団子だって食べてみせます!



『ちょた!言って?』



ニコニコしながら先輩は手を後ろに隠して、俺を見た。

なんだか恥ずかしいなぁ。

部長が俺たちを見てる!

でも目の前に居る綾先輩が可愛いから、ちゃんと笑って俺は言った。



「先輩!トリックオアトリート!」



どうしようっ!

綾先輩喜んでるっ!

顔が真っ赤になってるっ!


俺はなんだか恥ずかしくて、下を向いた。



暫く黙っていた先輩が、いきなり俺の手をがっしりと掴んで目を輝かせていた。



「せ、先輩?」



『ちょた…やっぱりあげないっ!』



!?


なぜ!?



「そ、それはどうして…」



俺が焦って綾に尋ねると、向こうから部長が歩いてきた。



「ぶ、部長…。」



「残念だったな。コレは俺様がいただく。」



「部長は先輩のただの幼なじみでしょう?」



俺は、自信たっぷりに綾先輩が作ったプリンを先輩の手から取って行く部長にイライラしてきた。



「そもそも、どうして部長なんですかっ!」



「さぁ?綾に聞いてみたらどうだ?」



「っ…先輩!」



「くくっ、幼なじみしか知らない事位あるんだよ。バーカ。」



部長は今にも泣きそうな俺の肩をポンッと叩き、プリンを片手に教室へ戻ってしまった。



『ちょた…。』



「説明、してくれますか?」



どうして俺はこんな時に先輩に優しく出来ないんだろう。

やっぱりまだ子供だから?



『あのねっ…私っ』



俺は次の言葉が怖くて、目を硬く瞑った。



『    』



「へ?」



先輩が真っ赤になりながら俺の耳元で囁いた言葉は、俺の理性を吹っ飛ばす程のもので、俺は、先輩抱き締めて言った。



『……ダメ、かな?』



「そんなわけないですっ!今夜は記念日になりそうですね。」



今夜の余興は綾先輩に甘いキスをする事から始めよう。



「部長にプリン返してもらわなくちゃ!」



『ふふっ、また作るよ?』



「ありがとうございます!」









キャンディ1つくださいな
(お菓子あげないから、……悪戯して?)


2009/10/31
ハロウィン記念


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