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SHORT
凶器はいつも心に(切原赤也)












『あ、嫌…っ』





むせ返るような血の香り


目眩がするような赤い景色


私の記憶はここで止まった





『い、いやぁあぁぁ!!』










血の海に横たわるのは、大好きな彼、仁王雅治





「全部赤に染まっちまえ!」




瞳を赤く染めて、高らかに笑うのは切原赤也





『赤、也…』





私は部屋の隅で泣き崩れるしか出来なかった






「先輩等が悪いんスよ?俺が綾先輩の事好きだって知ってたくせに、イチャつくから。」





にこりと笑い、私の顔を覗き込む






『や、ごめ、なさ…』






「先輩、可愛い」





赤也は綾の顎を片手で掴み、自らの唇を綾の唇に寄せた





『ん、ふっ』





血の味がする




雅…治の…






私は知らなかった


こんなふうに人を殺そうなんて気持ちが同じ人間にやどっているなんて



出来れば知りたくなかったよ…








「なにがそんなに悲しいんスか?これで邪魔は消えたんスから!俺と先輩は…」






『赤也…』





今度は綾が、赤也の唇に自らの唇を寄せた






『ん、』






ぐちょり、






「…っ…積極的っスね」






綾の手元が赤に染まる



ゆっくりと生ぬるく






『赤也、絶対、許さな、いからっ!』





「っ…いいっスよ。それでも」





赤也は目を閉じた



最期に先輩の腕の中で良かったと、“愛していた”と告げて。







『っく…ま、雅治っ…』






血で染まった床を歩く








『ふっ、うぁ…雅治!』






涙が零れるの



何故かしら



愛した男と



愛してくれた男が



私を独りにさせるからよ…





狂気は凶器となり



純白の姫を汚す











凶器はいつも心に
(愛なんて、ただの狂気と同じ)








2009/09/25




赤也の誕生日記念でしたが、
なんだかヒロイン目線ですね。

ま、とにかく!
Happy Birthday!!赤也!!


あきゅろす。
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