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SHORT
笹の葉(幸村精市)






月の所為か空が明るい



今日は雲一つない






『見て!精ちゃんっ!綺麗だよ〜!』





「クスクス…そうだね」





月に負けないくらい輝かしい笑顔で俺を見る綾





『もうっ!精ちゃんは全然話聞いてくれないんだから〜…』





「あはは、聞いてるよ…」





いつも可愛く笑うから
俺は目を逸らせなくなる

そんな愛しい彼女







『ねぇ、今日はさ…会えるかな』






「ん?ああ、彦星と織姫?今日は大丈夫じゃないかな。晴れてるし」






『うん、そうだね…』






病室の窓から見える空には限りがあって、こういう時も健康でありたいと願ってしまう






「……ごめん、ね?」






『いいよっ!私には精ちゃんが一番なんだからっ!』




毎年、というわけではないが、俺の体の所為で部屋から天の川を見るしかない俺たち




満面の笑みに少し胸が痛くなる





「あ、そうだ」





俺の声にきょとんとした顔で見つめ返す綾





「あそこの木にさ、付けてみない?短冊!」




君はパァっと顔を明るくさせて笑った





『うんっ!』






俺たちは、短冊にそれぞれの願いを書いて吊した



別に笹の葉っていうわけじゃないけれど






「ね、何て書いたの?」






『え〜、言ったら効果が無くなるんだよ〜?』





ぶーっと顔を膨らませて
俺を見る綾





「俺にだけっ!ね?」





そう言えば君は笑って教えてくれた






『じゃあ精ちゃんだけね?』















あの時の俺は、まだガキだったから自分の事しか考えてなかった






“精ちゃんが早く良くなりますように”







君がそんな事を願ってくれていてくれたなんてビックリしたよ






だけど


俺だって本当の願いを書いたんだ




自分勝手で



バカ正直に



でもね、



きっと君なら
喜んでくれると思う














「来年も綾と…」












ね?


少しだけ


目頭が熱くなっただろ?









笹の葉
(君に代わるものなんかないんだよ…?笹の葉のように、簡単にはいかないんだ)





ゆっきー好きです。
本当はギャグのつもりだったけど
やっぱり切甘で…笑


2009/07/07


あきゅろす。
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