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涙が血を流して落とす











ああ、全てが赤にみえる。












「あはは、刺し、たね?」

『光……。』


いつも一緒に座っていた筈の真っ白いソファーが赤に染まる。


「なん、で……?」


財前は名前の肩を揺すった。


「俺が、嫌い、やったん?」


弱々しく、そして縋るように。


「俺は、名前が本気で好きや。」


ああ、私は貴方を本当に愛しています。

財前を見つめ、名前が軽く笑った。


『私、光と離れるなんて考えられないよ……。』


名前は財前の首に腕を回して、語り掛けた。


『私を闇から救ってくれたのは貴方。私にぬくもりをくれたのも貴方。だから、だから私のものにしたかった!』


名前は、ぎゅっと腕に力をいれた。


『決めてたの。警察が来たら光を殺すって。』

「……は、そんなん、」


カタカタと震える名前から少し離れ、財前は弱々しいながらも笑って言った。


『ひか、る?』


名前の肩を強く握り、彼女の首筋を舐めた。


「ホンマ嬉しいわ。せやけど、俺だってそう思っとったんやで?」


財前の長い指が名前の髪にゆっくりと埋まり、後頭部を支えた。


『ん、……ひか、』


グジュッ


名前が身を委ねた刹那、名前の目が見開かれた。

そして財前が触れていた名前の首筋から血があふれ出た。


ゴキッ

グジャリ


「はっ……、ふっ、」


財前の歯が名前の喉を噛みちぎるよるに食い込む。


『ひか、ぁあ、ひっく、』


名前は声が出ないのか、驚ろいて財前を押し退けようとする。

じたばたする名前の腕を財前は強く握った。


「……名前だけ置いて行かれたくないやろ?」


財前の口が優しく弧を描いた。

そこからは名前の物であろう血が滴っている。

その光景を見て、名前は困ったように笑った。


『ひ、かる……、好き、好き!』

「俺もや……!」


白いソファーは真っ赤に染まり、二人の血で溢れていた。


『幸せ、だよ。』

「あんま、可愛い事言いなや。犯すぞ。」

『はは、めっちゃ、好き。』


横たわる名前の首に財前がキスを落とした。


「俺等、なんで会ってしもうたんやろ……。」


ドカッと音がして、部屋に警察が入ってきた。

部屋に充満した血の匂いと、横たわる男女の遺体が、すべてを物語っていた。


















どうしてあの日に出会ってしまったのだろう。

もっと早く出会っていれば、殺人鬼にならずにすんだのに。


どうして愛し合ってしまったのだろう。

愛し合わなければ、こんなに悲しい感情は湧かなかったのに。



『光、大好きだよ。』

「俺も。」



二人の涙が血を流して落ちた。










fin...


ありがとうございました!



あきゅろす。
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